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630万回以上の再生数を誇る謎のシンガー、AI音楽対策ツールを開発したストリーミングサービスは「AI生成と検知」と報告

2026/01/19 13:24掲載
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Sienna Rose
Sienna Rose
シエナ・ローズ(Sienna Rose)と呼ばれるシンガーは、Spotifyで月間リスナー数320万人以上を誇り、630万回以上再生された「Into the Blue」含む3曲がSpotifyのバイラルトップ50入りしているものの、AI音楽対策ツールを開発したストリーミングサービスのDeezerは「ローズの楽曲の多くがAI生成と検知されている」と報告。英BBCは、ローズにはSNSアカウントがなく、ライヴ経験もなく、動画も存在せず、短期間で不自然な数の楽曲をリリースしている(9月28日~12月5日に45曲)とも指摘し、あらゆる兆候が彼女の実在を否定していると報告しています。

ローズの楽曲である「Under the Rain」や「Breathe Again」を再生すると、曲全体にわたって特徴的なヒスノイズが流れています。

BBCによると、これは、SunoやUdioのようなアプリで生成された音楽に共通する特徴だという。その一因は、ホワイトノイズを起点に徐々に音を洗練させて音楽に近づける生成プロセスにあるからだと説明しています。

この特性こそが、DeezerがAI生成楽曲を識別できる理由だという。Deezerの主任研究科学者であるGabriel Meseguer-Brocalによると、この現象は「(ソフトウェアが)各レイヤーや楽器を追加する際にエラーが生じる」ためで、「いくつかの数学的な処理をすれば容易に検出可能だ」という。また、このエラーは指紋のように機能し、「固有の署名」を持つため、どのソフトウェアでどの楽曲が作成されたかを特定することも可能だという。

ポップスターのセレーナ・ゴメスは、ローズの楽曲「Where Your Warmth Begins」をゴールデングローブ賞に関するインスタグラム投稿のBGMに使用しました。その後、ローズの正体に関する疑問がネット上で広がったため、この曲は削除されましたが、ゴメスの投稿はローズとその正体への関心をさらに引き上げました。

AIソフトウェアはますます高度化しており、クローンアーティストが本物のミュージシャンと競合する時代が到来しています。

先日、スウェーデンでは、大ヒットしている楽曲が、AI生成楽曲だと判明したため、音楽チャートから除外されました(詳しくはこちら)。

BBCによると、シエナ・ローズのようなアーティストを立ち上げるコストは実質ゼロですが、彼女の音楽は週あたり推定2,000ポンド(約42万円)のロイヤリティを稼いでいると報告。これに対しK-POP業界では、レーベルがガールズグループやボーイズグループのメンバー1人あたり年間平均100万ドル(約1億6千万円)を投資しているとも報告し、「その差を見れば、AIアーティストの魅力がわかるだろう」と指摘しています。

Deezerによると、同サービスにアップロードされる楽曲の34%(1日約5万曲)がAI生成です「18ヶ月前は5~6%程度だった」とMeseguer-Brocalは指摘。「増加速度の速さには衝撃を受けています」と付けてています。

Spotifyは声明で、ローズのようなアーティストが同社のプレイリストに存在することを擁護しました。広報担当者はこう述べています。

「『AI』音楽と『非AI』音楽との間に単純な境界線を引くことは常に可能とは限らない。Spotifyは音楽を制作・保有しておらず、AIツールを使って作られた楽曲を推奨したり、不利に扱ったりすることもありません」