
Steve Lukather (c)Getty Images
TOTOのデビュー・シングル「Hold the Line」は
スティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)にとって特別な一曲。米Guitarの新しいインタビューの中で、「失敗したら終わりだと思った」というギターソロのレコーディングを振り返っています。
「アルバムで最初に録音したソロだった。(ソロは)その場で即興で弾いたんだよ。当時、俺は19歳で、もうメチャクチャ怖かった。スタジオでギターのボリュームを最大にして、ガラス越しに全員が見ている中で、“しっかりやれよ、小僧”という視線を感じながらさ。4小節のカウントダウンの後、一気に弾き始めたんだ。何をやってるのか自分でも全然わかってなかった。心の中で“これを失敗したら終わりだ”って思ってたよ。
ジム・ケルトナーもいたし、ワディ(ワクテル)も、クーチ(ダニー・コーチマー)もいた。みんな心の中で“この若造は誰だ?どうやってここに入り込んだ?横入りでもしたのか?”って思ってたに違いないよ。
(“Hold the Line”の誕生について)
(デヴィッド)ペイチの家に呼ばれてさ、他のメンバーも何人かいた。デヴィッドはスピネットピアノを持っていて、この曲を弾き始めた。俺たちは楽器を持ってなかったけど、みんな盛り上がってたよ。彼がピアノでリフを弾いてくれた時、ギターで弾いたらどれだけカッコよくなるかすぐに分かった。興奮したよ。ジェフ(ポーカロ)は俺を見て“最高だ!”って言った。みんな、この曲には何かあるって感じた。最初はピンとこない曲もあるけど、この曲は違った。この曲がきっかけで俺たちはバンドを組むことになったんだ。
(そして運命のレコーディングの日。ソロを弾き終えると、スタジオのガラス越しにいる面々を見てこう尋ねた)
“俺、まだバンドにいられる?”
このバンドにどうしても入りたかった。若くて野心にあふれてた。俺にとっては究極のバンドだった。ぶっ飛んでたよ。しかもボビー・キンボールは人間花火みたいなやつで、彼のそばにいるのはM-80の隣に座ってるようなものさ。強烈な存在感だった。あの声はガラスを割れるくらい。いやぁ、本当に歌が上手かったよ。
(“Hold the Line”のレコーディングは)全員が最初テイクから正しいパートを演奏していた。テイクは2、3回やったと思う。それがレコードになった。デモなんてなかった。
ソロは最初から組み込まれてたんだ。(※ソロがあるのはわかっていたけれど、事前に何を弾くかは全く計画していなかったという)
ペイチが“ソロを弾いて”って言うから、俺は“おお、マジか”って感じで。“さあ、今すぐ弾け”って感じだった。即興だったんだ。いきなりプレッシャーのかかる場面に立たされたよ。恐怖から一発録りでソロを弾いた。テイクはワンテイクで、最後のハーモニー・ギターのところだけやり直した。デイヴが“クイーンとかボストンとかみたいなのやつが欲しい”って強く言ってきてさ。そのためにパンチインして、まず最初のハーモニーを弾いて、それをダブルにしたんだ。3パートのハーモニーとして仕上げたんだよ。
最後に一つミスしちゃったんだけど、ペイチが“気にしなくていいよ。3パートのハーモニーを入れるために、もう一回やってもらうつもりだったから”と言ってくれた。
(インタビュアー:演奏には満足した?)
いや。バンドに残れるか、それだけが心配だった(笑)。
(インタビュアー:最初にこの曲をラジオで聴いたとき、下着姿で家の中を走り回ったそうですね)
本当だよ。最初の妻マリーと最初の家で暮らしてた頃の話さ。ちょうどアルバムが出たばかりで、当時はKMETと95.5 KLOSという二つの放送局をよく聴いていた。高校の頃から聴いていた地元のロック局さ。“そのうち君たちの曲がオンエアされるよ”ってずっと言われててね。夢だったんだ。ペイチから電話が来て、“今すぐ95.5を聴け!”って。俺は下着姿で、起きたばかりだった。ラジオをつけて叫んだよ。そりゃもちろん下着姿で家の中を踊り回ったさ。誰だってそうするだろ?俺たちの曲がラジオで流れてたんだから。
シュールだった。夢が叶ったんだ。でも一番変えた部分知ってるかい? AMラジオに合わせるため、ソロを丸ごとぶった切って短くしたんだ。まるで最初からなかったみたいに消されてた。車の中で“よし、ラジオで流れてる!”って盛り上がったのに、終わりのほうで“は?”ってなった。当時、そういうことを局はやってたんだ。まあ、たいていはフルでかけてくれてたけどね。
(インタビュアー:TOTOが“Hold the Line”を演奏せずにライヴをやったことはありますか?)
いや、ないよ。ほら、やらなきゃいけない曲ってのがあるだろ。俺はレコード通りのソロを弾かない。覚えるのが面倒くさいからね」