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ポール・ウェラー/ジョン・フルシアンテ/ジム・リードがシド・バレットを語る

2026/01/07 19:05掲載
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Syd Barrett
Syd Barrett
2026年1月6日、ピンク・フロイド(Pink Floyd)の初期中心メンバー、シド・バレット(Syd Barrett)が生誕80周年を迎えました。この記念すべき節目にあわせ、英Mojoは、ピンク・フロイド特集本『MOJO The Collectors' Series: PINK FLOYD ECHOES 1965-2025』から、ポール・ウェラー(Paul Weller)、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテ(John Frusciante)、ジーザス&メリー・チェインのジム・リード(Jim Reid)がシド・バレットを語るテキストを同誌サイトでも公開しています。

■ポール・ウェラー

「シドは唯一無二のソングライターだった。彼のギタースタイルと、そこから生まれる音色が大好きだった。見た目も素晴らしくて、本当に美しい少年だったし、彼のビジョンや思考の深さもまた驚くべきものだった。彼は可能性を切り開いてくれた。僕が初めて“See Emily Play”を聴いたのは9歳か10歳の頃で、その素晴らしさに圧倒された。そこには無数の色彩と質感が詰まっていた。シドにはこの世のものとは思えない不思議な資質があった。“Arnold Layne”“See Emily Play”“Apples And Oranges”といった初期シングルや“The Piper At The Gates Of Dawn”は本当に圧巻だった。彼のソロ作も同様で“Dominoes”“Golden Hair”、そして『The Madcap Laughs』の大半は魔法のようだった。

でも彼が姿を消したとき、人々は彼を“悲劇的な人物”“運命に翻弄されたスター”に矮小化してしまった。彼らは、彼が心の苦悩を抱えるひとりの人間だったことを見落としていた。彼はごく短い時間にあまりにも強く輝いたがゆえ、みんなの彼に対するイメージはいまだにあの時代に閉じ込められたままになっている。みんなはシドをファーストアルバムのジャケットに写る姿でしか思い出せない。ただ一つ確かなのは、彼が僕にとってとてつもなく大切な存在だということだけだ」

■ジョン・フルシアンテ

「15歳のとき、ニュージャージーを旅して、ザッパとビーフハートの熱狂的なファンであるジョーイ・サイコティックの家に泊まった。彼はバレットの熱狂的ファンでもあった。滞在中の9割はシドを聴いていたと思う。シドは、僕がこれまで聴いた中で最も独創的なソングライターの一人だった。彼が関わった作品を片っ端から買った。21歳になってマリファナを吸めた頃、彼の音楽はまったく別の意味を持つようになった。彼の音楽は、現実の見えない部分を僕にはっきりと見せてくれた。僕は、周りの人たちが生きている世界よりも、彼の世界を信じるようになった。

『The Madcap Laughs』『Barrett』『Opel』に触発されて、僕もアコースティック・ギターで曲作りを始めた。これらのアルバムに夢中になるまでは、自分には向いていないと思っていたんだ。彼がバンドメンバーと距離を置いていたことや、成功への嫌悪感にも共感した。彼(や他の多くの人たち)のように、僕も当初は成功を追い求めていたが、すぐに光は別のところにあると気づいた。その光がどこにあるかは正確には分からなかったけれど、成功を追い求めることは自分にとって価値がないと分かっていた。シドのフロイドでの仕事は僕にとってこの上なく刺激的で、僕の進むべき道にも関わっている。彼の天才性と純粋で子どものような精神は、彼を誰よりも輝かせている。どうか彼が、彼にふさわしい世界にいますように」

■ジム・リード

「ボウイが『Pin-Ups』で“See Emily Play”をカヴァーしたとき、俺はオリジナルを掘り出して聴いた。そしたらもう夢中さ! 一生のファンになった! ちょうどパンクの時代で、ピンク・フロイドは“敵”みたいにされてたけど、あの曲たちを一度でも聴けば、そんな音楽的な政治なんて全部どうでもよくなる。もし他の誰かがああいうタイプの曲を書こうとしたら、ひどくて、気取ってるだけになりかねない。でもシドの場合は、彼の頭の中で起きてることが、そのまま間に何も介在せずにテープに刻まれていく感じだった。“シドは狂ってた”って話は、俺はあまり信じてない。60年代に合わないドラッグをやってちょっと精神的に参ってしまったかもしれないけど、それを乗り越えて、ただ関わりたくなかっただけなんじゃないかなと思う。バンドをやるには耐えなきゃいけないクソが山ほどある。俺たちはみんな耐えたけど、彼は耐えられなかった。メリー・チェインは“Vegetable Man”をカヴァーしたけど、歌詞が本当に奇妙なんだ。着ている服こそが自分のすべてで、他には何もないって歌う、崩れていく彼の姿がはっきり聴こえる。シドはピンク・フロイドの魂だった。彼が去ったとき、でかい空白が生まれ、それは決して埋められなかったと思う」