HOME > ニュース >

ペイオラ(賄賂)が米国の音楽業界を支配した時代に英バンドが米国でヒットシングルを獲得した舞台裏 当事者が明かす

2026/01/07 17:03掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
United States Dollar
United States Dollar
裏で金銭を支払い、ラジオで曲を流してもらう不正な行為「ペイオラ(賄賂)」が米国の音楽業界を支配した時代。1983年に英国のロック・バンドが初の米国ヒットシングルを獲得した舞台裏を、英国のPR界のレジェンド、アラン・エドワーズが自身の回顧録『I Was There: Dispatches from a Life in Rock and Roll』で明かしています。英Louderはその抜粋を紹介しています。

エドワーズは、ローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン、プリンス、ポール・マッカートニー、ブロンディ、ザ・ストラングラーズなどと仕事をしてきた人物で、1983年にはビジネスを拡張してアーティスト・マネジメントにも乗り出し、その顧客の一つがビッグ・カントリー(Big Country)でした。

エドワーズが米国レコード業界の大物たちに会うためニューヨークを訪れた際、ビジネスのやり方が英国とはかなり違うことをすぐに思い知らされました。エドワーズはこう振り返っています。

「英国ではプロモーションとは、単に新聞に広告を出したり、ラジオ1のDJを夕食に招待して最新リリースを推してもらうよう働きかけるようなことを意味していた。ところが米国では、その言葉はまったく別の意味を持っていたのだ。

ペイオラは、米国のエンターテインメント業界、なかでもレコードのプロモーションを強く支配していた。マフィアはライヴ音楽プロモーターを取り込み、ジュークボックスを支配し、レコードプレス工場まで所有していた。彼らは米国のラジオ局をがっちり押さえていて、オンエアを望むなら、彼らと取引するしかなかったのだ」

エドワーズは、米国でのチャートの順位を上げるためには、フィラデルフィアのマフィアにかなりの現金を渡す必要があると知らされたという。彼とビジネスパートナーは市外のスクラップ置き場でそのマフィアと面会し、「チャート順位について相談したい」と伝えました。

「よし、イギリス人ども、要求を聞かせろ」とマフィアの一人が応じました。

エドワーズは、ビッグ・カントリーが各チャートで獲得したい具体的な順位を指定したという。オルタナティブ・チャートで23位、ロック・チャートで32位、ポップ・チャートで25位。

すると「よし、7万ドルだな」と言われたという。

翌週、エドワーズは米ビルボード誌で、ビッグ・カントリーのシングルがチャートで何位になったか確認しました。すると、チャートの順位はフィラデルフィアでの彼の要求と完全に一致していました。エドワーズはこう回想しています。

「まさに証拠だった。アメリカの音楽業界では、金こそが物を言い、戯言は通用しないのだと……。ビッグ・カントリーの仕事を終えて英国に戻り、グレート・ポートランド・ストリートのカフェで、ラジオ1の担当者とお茶とチーズロールを共にしたのは、ほっとするひとときだったよ」