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ボズ・スキャッグス、若きデュアン・オールマンとの歴史的セッション「Loan Me a Dime」を回想

2026/01/06 17:09掲載
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Boz Scaggs / Boz Scaggs
Boz Scaggs / Boz Scaggs
ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)デュアン・オールマン(Duane Allman)を迎えてレコーディングした1969年アルバム『Boz Scaggs』。スキャッグスは『Mark Hummel’s Harmonica Party』のインタビューの中で、若きデュアン・オールマンとの歴史的セッション「Loan Me a Dime」を振り返っています。

スキャッグスはスティーヴ・ミラー・バンド脱退後、米ローリング・ストーン誌の創刊者ヤン・ウェナーの紹介によりアトランティック・レコードとの契約を得て、このアルバムをレコーディングしました。ヤン・ウェナーが本作のプロデューサーを務めています。

スキャッグスとウェナーはレコーディング・セッションの場所として、アラバマ州シェフィールドにあるマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオを選びました。デュアン・オールマンのキャリア初期から支援していたウェナーは、オールマンをこのアルバムに迎えました。

「当時はね、マッスル・ショールズを使えるのは1週間だけって決まりがあったんだ。月曜の朝に入って、金曜の夜か土曜の朝に出て、そこで終わり、ってね」

スキャッグスの記憶によると、セッションは金曜の夕方に終わり、ミュージシャンたちは帰り支度をしていました。そのとき誰かが(スキャッグスはウェナーだったと思っている)がまだ時間が残っていることに気づきました。

「彼が言ったんだよ、“まだ時間あるぞ。みんな揃ってるんだ。もう1曲やりたい曲はないのか?最後にもうひとつやるか?”ってね」

スキャッグスの頭に浮かんだのは、マサチューセッツ州ケンブリッジでギタリストのエルヴィン・ビショップと彼の歌手ジョー・ベイカーの公演で聴いたブルース楽曲でした。

「フェントン・ロビンソンの曲をやってたんだ――当時は彼の名前を知らなかったんだけど――“Loan Me a Dime”をね。まさに自分のルーツであるブルースそのものだった」

スキャッグスはこの曲をそれまで聴いたことがなかったという。メロディとコード進行を覚えていましたが、歌詞は知りませんでした。スキャッグスはサンフランシスコのジョー・ベイカーに電話をかけると…。

「彼女が歌詞を教えてくれた。それで(バンドに)“こんな感じの曲でさ、マイナー・ブルースなんだよ”って言ったんだよ」

ミュージシャンたちがそれに応えてくれることに、スキャッグスは微塵の疑いもなかったという。「だって、あのリズムセクションにデュアン・オールマンまでいるんだから」

マッスル・ショールズは小さなスタジオでした。スキャッグスのアルバムを含むほとんどの楽曲は、オーバーダブを交えながら複数回のセッションで録音されていました。そのため、「Loan Me a Dime」のアレンジに必要な全ミュージシャンをスタジオに詰め込むのは不可能でした。

スキャッグスによると、オーバーダブをする時間が残っていなかったため、ミュージシャンたちは建物内のあらゆるスペースを活用して、グループで録音できるようにしなければならなかったという。

「クロークルーム(※コートなどを掛けるための部屋)、トイレ、コントロールルームがあった。ホーン奏者たちはクロークルームに移動した。そこには小さなクローゼットがあり、そこに3本か4本、多分5本のホーンを入れたよ。

僕はどういうわけか、小さなオフィスかテープルームか、そんなところにマイクを入れて押し込まれた。

デュアン・オールマンはトイレにアンプを置いて座った。便器のタンクの上に腰かけて、足は便座の上に置いてさ。小さなアンプをすぐそばに置いて、ヘッドフォンを装着し、狭い空間に身を縮めていた。その小さなアンプと部屋の響きが相まって、彼は素晴らしい音色を生み出したんだよ」

バンドは魔法が起きるかもしれないと、テープマシンを回しながら曲のリハーサルをしました。そしてそれは実際に起きました。

「曲を通しでやって、最後までやった。で、よくあるように、誰かがなんとなく弾き続けた──リズムセクションがね。彼らは自然と軽快なリズムに乗り、コード進行に合わせて動き出した。ダブルタイム、ブーガルーに入って、そこからいわゆるフルスロットルのシャッフルへと変わったんだ。

もちろん、デュアンは弾きまくってる。たぶん15分、16分、17分くらい続いたかな。全員が“うおっ!”ってなったよ」

このテイクは素晴らしかったが、スキャッグスの記憶では完成形ではなかったという。2回目のテイクこそが完全であり、彼が言うには「エネルギーが少し違っていた」という。スキャッグスによると「デュアンが一番の違いだった」。

オールマンは自分のグルーヴをつかみ、その結果は彼の短い生涯における不滅の偉業となりました。実際、「Loan Me a Dime」でのオールマンの演奏は、彼のキャリアのハイライトと考えられています。