HOME > ニュース >

ロバート・グラスパー「ノラ・ジョーンズは本人が気づかないうちに、ある意味で僕のキャリアを後押ししてくれた」

2026/01/05 13:05掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Robert Glasper and Norah Jones. Norah jones/Instagram
Robert Glasper and Norah Jones. Norah jones/Instagram
ロバート・グラスパー(Robert Glasper)は米Peopleの新しいインタビューの中で、長年の友人ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)が自身のキャリアを後押しした経緯を語っています。

Q:(「第68回グラミー賞」のベスト・オルタナティヴ・ジャズ・アルバムにノミネートされた)『Keys To The City Volume One』の制作で特に印象に残っている瞬間は?

「ノラ・ジョーンズだね。テキサスで高校2年生のとき、一緒にジャズ・キャンプに行ったんだよ。当時から知り合いだったんだ。彼女が一気にブレイクして曲を出して、当時ブルーノートのレーベルでいろいろやってくれたおかげで、彼らは大儲けして、そのおかげで僕も契約できたんだ。彼らはまたインストゥルメンタリストと契約できるようになった。だから彼女は、本人は気づかないうちに、ある意味で僕のキャリアを後押ししてくれたんだよ。

僕らはいつも変わらない。なんというか、ホームにいる感覚さ、分かるだろ? ブルーノートで5夜くらい彼女と一緒にやったんだけど、小さな会場で本当に親密で最高だった。しかも彼女は違うことをすることに前向きで、だから僕らは(アウトキャストの『The Love Below』から)“Prototype”をやったんだ。彼女はそのアルバムに参加してるけど、別の曲を歌っている。彼女が“この曲やってみようよ”って提案してくれたのは、マジで最高だったよ。

初期の頃から知ってる人がブレイクしても、その後も相変わらず良い人であり続けるのを見るのは、いつだって素晴らしいことだ。だって、そうとは限らないから。“キャビアはどこ? シャンパンは?”って、人が変わっちゃうのって本当に嫌だ。まったくもってクレイジーだよ」

Q:もし可能なら、若い頃の自分に音楽業界についてどんなアドバイスをしますか?

「もし若い頃の自分に音楽業界のアドバイスができるなら、いつも自分のビートで歩け、と言うだろう。多くの若いアーティストは、いま流行っている音楽的トレンドに飛びつくという間違いを犯す。彼らはそれに気づいていない…僕は長くこの世界にいるので、トレンドが来ては去るのを何度も見てきた。多くの場合、アーティストはトレンドに自分を結びつけてしまい、その流れに乗ってしまう。で、そのトレンドが消えて、ちょっとしたジャンルがパッと現れてすぐ消えたとき、そのアーティストも一緒に消えてしまう。なぜなら彼らが結びつけていたのはそのトレンドそのものだから。ただ自然体で自分らしくあり続け、その姿勢を貫けば、君は君であり続けられる。そうすれば君は残り続けられると思うよ」

Q:あなたは「あなたの世代で最も重要なジャズ・ミュージシャン」と呼ばれています。その評価をどう受け止めていますか?

「そう呼ばれるのは本当に光栄なことだよ。自分のやっていることが人々に影響を与え、若いミュージシャンたちが自分らしくいることにお墨付きを与えられているといいなと思う。特にジャズというジャンルは歴史に大きく依拠していて、ジャズ界の人たちやジャズ警察の人たちは歴史に重きを置いている。彼らは、あなたが自分らしく、現在を生き、未来を切り拓くことよりも、歴史を重視する傾向がある。とにかく歴史がすべてなんだ。まるで、歴史をすべて知らなければ、今この瞬間に音楽を奏でる資格すらない、みたいな感じさえある。僕は若い世代に自分らしくいる許可を与えたいと思っているけど、それと同時に、歴史を尊重し、理解し、それに縛られないようにしている。それがすべての核心なんだ。

最初に始めた頃は、とにかく一番になりたかった。みんなを打ち負かしたかった。自分は君たちより上だって思ってた。若いときって、だいたいそういうものだろう。ほかのミュージシャンを唸らせることが全てだった。でも今は、そういうことは全部やり尽くしたし、大人になってアルバムも出している……自分の音楽が人々に何をもたらすのか分かった瞬間、視点は大きく変わると思う。“君の音楽があったから自分を傷つけずに済んだ”とか、“君の音楽のおかげで息子が生まれた”とか、“君の影響でピアノを始めた”とか、そんな言葉を数多く受け取ってきた。

そういうの全部が、つまり答えなんだ。僕は誰かの人生のサウンドトラックであり、人々にインスピレーションを与えている。その本質を理解した時、もうそれが音楽をやる理由になるんだよ」