
Boz Scaggs / Silk Degrees
ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)の出世作となった1976年アルバム『Silk Degrees』。レコーディングに参加したギタリストの
ルイ・シェルトン(Louie Shelton)は米Guitar Playerの最近のインタビューの中で、アルバム参加の経緯と、シングルヒットした「Lowdown」のギターソロのレコーディングについて振り返っています。
「ボズ・スキャッグスやホイットニー・ヒューストン、ライオネル・リッチーのような大物アーティストの曲をたくさん手がけていた頃、僕はセッション・プレイヤーですらなかったんだよ。たまに、ギターのセッションに来てくれないかと声がかかることがあったので、“オーケー、やるよ”って応じていたんだ。
でも、その頃にはすでにプロデュースに移行していて、正式にシールズ&クロフツのプロデューサーになっていた。シールズ&クロフツをプロデュースし始めたときに、(後ににTOTOを結成する)デヴィッド・ペイチ、ジェフ・ポーカロ、デヴィッド・ハンゲイトを起用していたんだ。
(1975年の秋、ペイチ、ポーカロ、ハンゲイトの3人はボズ・スキャッグスのアルバム『Silk Degrees』の制作に取り組んでいました)
デヴィッドがボズ・スキャッグスの仕事を得た時、彼は俺がその小さなグループに加わるのにふさわしい人物だと思ったんだよ。だから電話をくれて、やってみないか、と尋ねてくれたんだ」
シェルトンがこのアルバムで特に気に入っている瞬間のひとつが、「Lowdown」のソロをレコーディングした時だという。
スキャッグス自身は以前に、この曲を「偶然の産物」と呼び、「ヒットする見込みなんてこれっぽっちもない」と考えていたと語っていました。それでも全員がこの曲を気に入り、アルバムのB面オープニング曲として収録されました。
シェルトンはこう続けています。
「あのソロは即興で、ただ“このスペースを埋めてくれ”と頼まれただけだった。コード表があって、たしか38小節あたりから何か弾いてくれ、みたいに指示された。全てが即興で、何も計画していなかった。曲を聴きながらコード表を見て、その場で思いついたものを即興で弾いたんだよ。
しかも全てワンテイクだった。録り直したり修正したりしなかったし、ソロを練ることもしなかった。曲全体を通してテレキャスターを69年製フェンダー・プリンストン・リバーブアンプに繋いでクリーンのリズムを弾き、ギターソロを弾くタイミングが来るまで続けた。ギターソロでは、30ドルくらいのベーシックなBossペダルであるディストーションペダルをカチッと踏んで、ソロに色味を加えたんだ」