HOME > ニュース >

耳鳴り スマートフォンを介した新しい音響療法の可能性 最新研究結果

2025/12/18 17:07掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Tinnitus
Tinnitus
耳鳴りの新しい音響療法(サウンドセラピー)についての研究結果が発表されました。既存の治療法とは異なり、専門機器などを必要とせず、スマートフォンやヘッドフォンなどの日常的なデバイスを用いて治療を提供できる可能性を秘めています。

ニューカッスル大学が主導したこの研究は、参加者に音の変調技術を導入し、脳の聴覚処理領域における活動パターンを乱すことで耳鳴りを軽減させることを目的としています。

研究では、参加者に特別に調整された音を1日1時間、6週間にわたって聴いてもらいました。研究者らは、この音が脳の聴覚処理領域の活動パターンを変化させるのに役立ったと考えています。こうした活動は、耳鳴りの根本原因と考えられている重要な要因と考えられています。

研究者らは合成音を用いましたが、この手法は従来の音楽作品を含む他の形式の音声コンテンツでも有効であると考えられています。

今回の研究を主導したニューカッスル大学の研究者で、ニューカッスル病院の神経科コンサルタントでもあるウィル・セドリー博士は、次のように述べています。

「この手法を成功させる鍵は、各周波数における音の音量と、周波数を絶えず変化させることですが、周波数ごとに音量は異なるものにするのも重要です。

その結果として、各音の周波数に反応する脳細胞が同時にではなく、異なるタイミングで活性化すると考えられます。これらの脳細胞を人の群衆にたとえるなら、私たちが試みているのは、全員で一斉に叫ぶのではなく、一人ひとりが違うタイミングで話すような状態を作り出すことです。その方が脳にとって無視しやすくなるのです。

この技術が非常に有望なのは、広く普及できる可能性に加え、現在のいくつかの治療のように特定のタイプだけでなく、さまざまなタイプの耳鳴りを治療できる点にあります。

既存のデバイスを使って、普段から楽しんでいるオーディオコンテンツを聴くだけで、人々が自分の耳鳴りを治療できるようにするという長期的な目標に、私たちは大きな期待を寄せています」

77人が参加者した今回のオンライン試験では、治療終了後少なくとも三週間は耳鳴りの軽減が持続し、長期的な効果が期待できることが示されました。

この試験では、耳鳴りに対する平均的な軽減効果は平均して約10%程度ですが、より大きな効果を得た参加者もいれば、効果が見られなかった参加者もいました。研究チームは現在、音響療法を改良して耳鳴りに対する効果をさらに高めることを目指しています。