
Jeff baxter / Speed of Heat
ジェフ・“スカンク”・バクスター(Jeff "Skunk" Baxter)が選ぶ「人生を変えた10枚のレコード」。米Guitar Playerの企画で挙げています。ザ・ベンチャーズ、ヘンリー・マンシーニ、ルイ・アームストロング、スティーリー・ダンについて語っています。
■The Ventures - Walk, Don’t Run
「ザ・ベンチャーズはメロディの達人だった。彼らの曲にはソロがほとんどなく、演奏の大半はメロディを奏でることに費やされていたが、その演奏は見事なものだった。彼らが録音した“Walk, Don’t Run”は、ジョニー・スミスの曲を彼らが解釈したもので、オリジナルの方はちょっとジャジーなんだけど、ベンチャーズはそれをよりストレートに仕上げていた。ただしBセクションだけはシャッフル感を残していた。最初に聴いたときは“ちょっと待て…この人たち、グルーヴを変えてるぞ!”って思って、すごくクールだと思ったよ。ずっとストレートに四拍子で進んでいたのに、突然スウィングし始める。あれは見事だと思った。
このアルバムに入っている曲は全部、弾き方を学んだ。シンプルという表現は適切ではない──彼らは神がかったほど無駄のない演奏だった。要点を伝えるのに多くを語る必要はないこともある。必要なことを言い終えても、なお話し続けてしまう人がいるが、それと同じだ。僕の世代のギタリストに話を聞けば、ザ・ベンチャーズが自分たちの成長に大きな役割を果たしたとみんな口を揃えて言うはずだよ」
■Henry Mancini - “Peter Gunn Theme”
「メキシコで育ったので、アメリカのテレビ番組はあまり見られなかったが、『ピーター・ガン』シリーズは観ることができた。僕はクラシックピアノを習っていたんだけど、先生にこう言った。“ヘンリー・マンシーニが書いた、ものすごくカッコいいテーマのテレビ番組を観た。あれを弾けるようになりたい”って。
先生は『ピーター・ガン』シリーズの全曲が載っている楽譜を手に入れてくれたので、おかげで僕はピアノでそれらを弾けるようになった。『ピーター・ガン』のサウンドトラックは擦り切れるほど聴いた。あのリフはまさに象徴的だった。
もうひとつ『ミスター・ラッキー』というシリーズがあって、こちらもヘンリー・マンシーニの音楽だった。僕は彼の作品にすっかり魅了されていた。ギターを弾き始めたときには、“あの曲たちも弾けるようになろう”って思ったよ」
■Louis Armstrong & His Orchestra - Satchmo Plays King Oliver
「これは父が持っていたアルバム。父はディキシーランドの大ファンで、ルイ・アームストロングの大ファンでもあった。僕が子供の頃にメキシコにいた時、ルイ・アームストロングがエラ・フィッツジェラルドやディジー・ガレスピーとともにメキシコで公演を行った。そのとき、自分もサックスやトランペットを勉強した方がいいかもしれないと思うほど、大きな衝撃を受けた。結局のところ、ソロについてはトランペットやサックスの教本から多くのことを学んだ。
これは素晴らしいアルバム。ルイ・アームストロングが、彼の師であるキング・オリヴァーの音楽を演奏している。さまざまな点で美しいんだけど、特にフレージングが…ほかのレコードについても以前言ったことがあるけどれ、このレコードにはどこか親しみやすい雰囲気がある。クレイジーな演奏というよりは、むしろ親しみやすさとフィーリングを重視しているんだよ」
■Steely Dan - Can’t Buy a Thrill
「スティーリー・ダンがかなり人気のある存在になったとき、それは間違いなく僕にとって人生を変える出来事だった。アルバムには多くの関心が寄せられ、特にミュージシャンから注目を集めた。僕らは“ミュージシャンのためのアルバムを作る、ミュージシャンのためのバンド”というように見られていた。アルバムがリリースされると、すぐにスタジオワークの世界が一気に開けた。ロサンゼルスのスタジオ・シーンは活気にあふれていて、仕事が山ほど舞い込んだよ。
そんなに成功するとは思っていなかった。もちろん誰だって成功は望むが、このアルバムがその道を進む確信はなかった。僕の姿勢は“とにかくきちんとやろう”というものだった。音楽に集中していた。ベッドに横たわって“リアジェットを買って、シャトー・マーモントに行こう”なんて考えていたわけじゃない。
実は成功しない可能性もあった。アルバム未収録の最初のシングル“Dallas”は、ドラマーのジム・ホッダーが歌っている。素晴らしい声だ。ペダル・スティールとカントリー・ギターがたくさん入った曲だった。(ウォルター)ベッカーだったか(ドナルド)フェイゲンだったかは覚えていないが、どちらかがちょっと慌てて“ちょっと待て。バンド名はスティーリー・ダンだ。スティーリー・ダンが何者なのか誰も知らないんだから、カントリー・バンドだと決めつけられるのは避けたい”と考えたんだと思う。とはいえ、本当にクールな曲なんだ。その後のバンドは、どういうわけかうまくいったんだ」
■Jorgen Ingmann - “Apache”
■Howard Roberts - Color Him Funky/H.R. Is a Dirty Guitar Player
■Bobby Darin - The Bobby Darin Story
■The Lawrence Welk Show
■Albert Ammons and Pinetop Smith - Safeway Records EP
■Billy Mure - Tough Strings