ロクセット(Roxette)の代表曲のひとつ、映画『プリティ・ウーマン』の劇中歌としても使われた「It Must Have Been Love(邦題:愛のぬくもり)」。この曲の誕生の経緯を、作詞・作曲を手がけたメンバーのペール・ゲッスル(Per Gessle)が、英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で振り返っています。
当時は、ABBAを除けば、スウェーデンはポップ界では劣勢だった。僕たちの目標は、他のスカンジナビアの国々、できればドイツに進出することだけだった。しかし、EMIドイツは僕たちをラジオで流してもらえずにいて、代わりにクリスマスソングを書いてはどうかと提案してきた。オリジナルのタイトルは“It Must Have Been Love(Christmas for the Broken Hearted)【きっと愛だったんだ(傷心のクリスマス)】”で、ハルムスタッドにある自宅のグランドピアノで書いた。もともと“It must have been love, but it’s over now【きっと愛だった、でも今は終わった】”というラブソングとして書き始めていたもので、それをドイツのレーベルの要請を受けて、2番の歌詞にクリスマスへのささやかな言及を加えたんだ。春だったので、クリスマス気分なんて全然なかったんだよ。
彼女が病気になったあと、アムステルダムで僕のソロ公演に足を運んでくれた。ステージに上がらないかと誘うと、8年間も公の場で歌っていなかったけれど、アンコールで登場して“It Must Have Been Love”を歌ってくれた。あれほどたくさんの人が泣いているのを見たのは生まれて初めてだった。マリーはその経験から、ものすごくエネルギーをもらって、新たなアルバム制作とツアーを望んだ。僕たちは実際にそうした。あの経験が彼女にあと数年の命をくれたのだと思う」