HOME > ニュース >

ザ・ポーグスとカースティ・マッコールが初めて一緒に「ニューヨークの夢」をライヴ演奏した時の未発表音源 スティーヴ・リリーホワイトが制作語る

2025/12/16 19:50掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
The Pogues Featuring Kirsty MacColl - Fairytale Of New York [25th Anniversary Limited]
The Pogues Featuring Kirsty MacColl - Fairytale Of New York [25th Anniversary Limited]
ザ・ポーグス(The Pogues)カースティ・マッコール(Kirsty MacColl)の名曲「Fairytale of New York(邦題:ニューヨークの夢)」。先日リリースされた、ザ・ポーグスとカースティが初めて一緒にこの曲をライヴで演奏した時の未発表ライヴ音源は、オリジナルプロデューサーのスティーヴ・リリーホワイト(Steve Lillywhite)がブラッシュアップしたものです。リリーホワイトは英The Independent紙の寄稿し、このライヴ音源の制作について、そしてこの曲、ザ・ポーグスについて振り返っています。

「今回の新しいリリースで起きたのは、ワーナー・ブラザースが“Fairytale of New York”のこのライヴ・ヴァージョンをボーナストラックとして収録しようとしたところ、バンドが“ちょっと待て…”と言ったことから始まったんだ。

というのも、この曲には本当に決定版と言えるヴァージョンがひとつしかない。(クイーンの)“Bohemian Rhapsody”みたいなものだよ。バンドは、最初のライヴ録音を僕に送ってきたんだけど、正直、音質はあまり良くなかった。だから僕は“テープを送ってくれ、何とかしてみるよ”と返事をした。数日かけて作業した結果、バンドはそれを気に入ってくれた。テンポも上がって、より活気にあふれている。この曲の素晴らしいヴァージョンになったよ。

ザ・ポーグスは本当に素晴らしいバンドで、僕は最高のタイミングで彼らと仕事できた。これまで一緒に仕事をしたアーティストたちはみんな才能があるけれど、最高のレコーディングは、人と人がちょうどいいタイミングで集まるから生まれるんだ。決して一つの要素だけじゃない。

僕にとって“Fairytale of New York”は上質なワインみたいなもので、聴けば聴くほど味わい深くなる。最初は誰もこの曲に歓声なんて上げないんだけど、カースティが登場すると一変する。彼女はクロイドン出身なのに、赤い髪にスコットランド風の名前ってこともあって、スコットランドでは他のどこより有名だったんじゃないかな。スコットランドの人々は彼女をこよなく愛していた。だから(ライヴ・ヴァージョンの)あの歓声は全部そのまま残した。彼女はステージ恐怖症だったけど、それを乗り越えてこのヴォーカルを届けてくれた。ほんとうに素晴らしかった。曲の真髄が確かに伝わってくる。

有名な話だけど、彼女とシェイン・マガウアンはスタジオで一緒に歌ったことがない。レコーディングってそういうもので、ちょっとした手品みたいなところがある。でも聴く側には自然でなければならない。みんなが80年代にしていたあの髪型みたいに、仕上げるのに2、3時間もかかっているのに、まるで寝起きのような無造作さを装うんだ。

“Fairytale”の大きなアイデアは、甘ったるくないクリスマスソングを作ることだった。オリジナルのデモは前年のクリスマスに向けて作ったんだけど、目指している方向とは違うと判断した。あらゆる芸術において僕たちが追い求めるのは時代を超越した作品だからね。7月にレコーディングに取りかかったときには、それが最優先というわけではなくなっていて、ほかの10曲も同じくらい重要だった。アルバムを最後まで作り終えた頃には、全員もう横になって休みたい気分だったよ」

■このライヴ音源含む最新EP『Fairytale of New York』



■EP『Fairytale of New York』Limited Edition 12” Zoetrope vinyl

1. Fairytale Of New York (Original Version)
2. Fairytale Of New York (Live at Glasgow Barrowland, 1987)
3. Dirty Old Town (Live at Glasgow Barrowland, 1987)
4. Fairytale Of New York (Instrumental