2015年2月開催の第57回グラミー授賞式で、「アルバムは今でも重要だ、書物や黒人の命と同じように」(原文"Albums still matter. Like books and black lives, albums still matter")という有名なスピーチでアルバムの大切さを説いたプリンス。同年 9月に発表した自身38枚目のアルバム『ヒット・アンド・ラン フェーズ・ワン』(原題:HITnRUN phase one)は、当時25歳のジョシュア・ウェルトンをプロデュースのみならずコンポーザーとしても全曲共作に抜擢した作品で、次世代育成も軽やかに担う熟練天才ミュージシャンによる未来への野心をも感じる実験的アルバム。制作期間は2013年から2015年の約2年間にわたり、当時プリンス本人はアルバムについて「とても実験的で、ちょっと変わってて、とてもファンキーなもの」と語っていた。 そのわずか3か月後にリリースされた自身39枚目のアルバムで生前最後に発表したアルバムとなった『ヒット・アンド・ランフェーズ・トゥ』(原題:HITnRUN phase two)は、若き参謀のジョシュア・ウェルトン手掛ける『ヒット・アンド・ランフェーズ・ワン』に対し、ザ・ニュー・パワー・ジェネレーションとともにソウル/ファンク作法で制作されたプリンス節全開の内容。同作の制作期間は2010年から約5年で、まったく方向性の異なる2作品を早々に揃えることで<次々に違うことを仕掛ける>という同シリーズの主旨を示したであろう名作だ。なお2015年4月にメリーランド州ボルティモアで黒人男性フレディ・グレイが移送時に警官から暴行を受けて亡くなるという事件が発生し、その追悼と抗議の意味を込めて4月30日にレコーディングされたのが同アルバム1曲目の「Baltimore」。デトロイトのR&Bシンガーであるエリン・アレン・ケインを迎え、翌5月には配信シングルとして登場したこのプロテスト・ソングが、本作をアルバムとして束ねるカギとなっている。
「Baltimore」MV
プリンスは全ての楽器をこなすマルチ・プレイヤーであり、セルフ・プロデュースもする非凡な才能、イメージ戦略を打ち出すような野心、そして当時としては画期的なツアーのチケット購入者特典としてアルバムを無料配布するという手法を企画・実現し、その後の音楽プロモーションのやり方を180度変えた改革者でもあった。今でもその唯一無二の存在は多くのアーティストや音楽ファンに影響を与え続けている。 プリンスは2015年に「“HITnRUN”はまるで今日のことのように聞こえる」(“HITnRUN sounds like today.”)と語っていたが、リリースから10年経った今も、その言葉通り、ルバムもメッセージも全く風化することなく、時空を超え、新たな時代へと受け継がれていく。
<Tracklist> 1. Million $ Show (3:10) 2. Shut This Down (3:03) 3. Ain't About 2 Stop (3:38) 4. Like A Mack (4:04) 5. This Could B Us (4:11) 6. Fallinlove2nite (3:12) 7. X's Face (2:38) 8. Hardrocklover (3:42) 9. Mr. Nelson (2:27) 10. 1000 X's & O's (4:27) 11. June (3:21)
<Tracklist> Side A 1. Million $ Show (3:10) 2. Shut This Down (3:03) 3. Ain't About 2 Stop (3:38) 4. Like A Mack (4:04) 5. This Could B Us (4:11) 6. Fallinlove2nite (3:12)
Side B 1. X's Face (2:38) 2. Hardrocklover (3:42) 3. Mr. Nelson (2:27) 4. 1000 X's & O's (4:27) 5. June (3:21)
<Tracklist> 1. Baltimore (4:33) 2. Rocknroll Loveaffair (4:01) 3. 2 Y. 2 D. (3:49) 4. Look At Me, Look At U (3:27) 5. Stare (3:45) 6. Xtralovable (5:00) 7. Groovy Potential (6:16) 8. When She Comes (3:45) 9. Screwdriver (4:14) 10. Black Muse (7:21) 11. Revelation (5:21) 12. Big City (6:25)