
Jerry Cantrell, Eddie Van Halen
アリス・イン・チェインズ(Alice In Chains)の
ジェリー・カントレル(Jerry Cantrell)はギブソンTVの新しいインタビューの中で、
エディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)から贈られた超レアなギターについての逸話を語っています。
2人は、1990年代初頭、
ヴァン・ヘイレン(Van Halen)のツアーのオープニング・アクトをアリス・イン・チェインズが務めた時に出会いました。
「初めてエドに会ったのは、俺がまさにステージに上がる準備をしていた時だった。彼は俺の楽屋に立っていて、すぐそばには(エディの当時の妻)ヴァレリー(バーティネリ)がいて、彼女の腕の中には(息子の)ウルフィー(ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン)がいた。彼はギターを持ってスケールを弾きながら“よう、元気?”みたいな感じでさ、俺は心の中で“マジかよ?”って思ってたよ。
たぶん(その日は)人生で一番最悪なライヴだったと思う。頭の中は“彼がすぐそこにいる!”ってことでいっぱいで、まったく集中できなかったし、とにかく早くライヴが終わってほしかった。
その後は平気になって俺たちは良い友達になった。一緒にビリヤード場に行ったり、バンドを見に行ったりしたこともあったし、ホテルの部屋で朝までずっと“このリフなんだ?”みたいなゲームをしたこともあったよ。
ツアーが終わって家に帰ったんだけど、当時は(アリス・イン・チェインズのマネージャーの)ケリー・カーティスと、彼の妻ペギーと一緒に住んでいたんだ。
彼が“おかえり。いいツアーだったな。ゆっくり休めよ……ところでなんだけど、ガレージの君の荷物を片付けてくれないか? 車を入れたいんだ”って言うんだよ。
俺は“何のこと?”って聞いたら、“エディ・ヴァン・ヘイレンが君のために機材でガレージをいっぱいにしちゃってさ。何カ月も車をガレージに入れられずにいるんだよ”と言ったんだ」
当時はエディがミュージックマンと最も深く関わっていた時期で、カントレルはその恩恵を大いに受けました。その中には5150アンペアヘッドが2つ、キャビネットが4つ、そしてエディのシグネチャーギターであるミュージックマンのギターが2本含まれていました。そのうち1本はトランスルーセントブルーのギターで、エディのごく近しい仲間に贈られる個体にのみ用意されていたカラーバリエーションでした。
「それらがガレージにぎっしり詰まった状態で置かれていて、俺は必死に状況を理解しようとした。“エディ・ヴァン・ヘイレンが俺のガレージを機材でいっぱいにしたんだ”ってね」
それからほぼ10年後の2000年、カントレルはそのトランスルーセントブルーのギターを携え、ハリウッドのA&Mスタジオでソロ・アルバム『Degradation Trip』のレコーディングを行いました。ところがそのとき、スタジオからそのギターが盗まれて、どこにあるのか分からなくなりました。
「あのギターがどうなったのか、ずっと分からず、何年も探し続けたんだけど、どうしても手がかりが掴めなかった」
2018年、アリス・イン・チェインズが『Rainier Fog』ツアーを開始した頃、彼はデイヴ・フリードマンから手がかりを得ました。
「“フロリダにエディのミュージックマンのギターを収集している人がいる”と彼は言い、“その男が君のギターを持っていると思う”と教えてくれた。
それでその男に電話したら、盗まれてから18年後にネットでそれを見つけたと言っていた。たった23本しか作られていないモデルで、しかも俺のはフロイド・ローズを思い切り引き出せるよう加工していた。彼がギターを見せてくれて、間違いなく俺のギターだって確信したよ」
しかし、そのコレクターは、ほどなくして連絡が取れなくなりました。1週間ほどして、カントレルは、そのコレクターがその厄介なギターを売り払おうとしていることを知りました。
「別のコレクターのグレッグがサンディエゴから電話してくれたんだ。“なあ、あのガキが君のギターを77000ドルくらいで俺に売りたいって言ってる。どこで手に入れたのか聞いたら、父親がA&Mスタジオで働いてたって言っているんだ”って。
それでグレッグはそのギターを買って、サンディエゴから車で運んで俺に渡してくれた。金は一切受け取らなかった。“それはお前のギターだろ、相棒”って言ったんだよ」
興奮と安堵が入り混じるなか、カントレルはエディに電話して、この朗報を伝えたという。
するとエディの返事は「そりゃ嬉しいけどさ、なんで俺には一度もそんなことが起きないんだ?俺のものは絶対戻ってこないんだよ」だったという。
カントレルはこう答えました。「まあ、それは君がエディ・ヴァン・ヘイレンだからだよ。俺だって返さないだろうな」