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ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの配信時代のロイヤルティめぐる裁判開始 ノエルとミッチの遺産管理団体がソニーを提訴

2025/12/11 09:32掲載
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The Jimi Hendrix Experience (Image credit: Hulton Archive/Getty Images)
The Jimi Hendrix Experience (Image credit: Hulton Archive/Getty Images)
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(The Jimi Hendrix Experience)ノエル・レディング(Noel Redding)ミッチ・ミッチェル(Mitch Mitchell)のエステート(遺産管理団体)は、バンドの録音が商業的に利用され続けているにもかかわらず、数十年にわたり利益を得られていないとして、ソニー・ミュージックエンタテインメントUKを提訴しました。12月9日より、英ロンドンの高等法院で審理に入っています。

レディングとミッチェルはジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)が亡くなった後、1970年代初頭に自分たちが持つ音楽著作権の権利を手放しました。しかし、現在のようなストリーミング配信で利益を得る時代がくるとは予想していたわけではなかったため、2人のエステートは、2人が演奏した楽曲のロイヤルティの分配を受ける権利があると主張しています。

レディングが作曲したごくわずかな曲を除けば、ヘンドリックスはバンドの楽曲のほとんどを作曲し、ソングライティングのロイヤリティを単独で得ていましたが、トリオはヘンドリックスが1970年に27歳で亡くなる前、一緒に作った音源のロイヤリティは分け合っていました。

しかし、ヘンドリックスが亡くなると、2人はジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの音楽はもうリリースされることはないだろうと考え、またCDでのリイシューやストリーミング配信で利益を得る時代がくるとは予想していなかったため、1970年代初頭に音楽著作権の権利を手放しました。その際、レディングは10万ドル、ミッチェルは24万ドルを受け取り、2人ともその収益をめぐって将来訴訟を起こすことはできないと記した書類に署名しました。

レディングとミッチェルはそれぞれ2003年と2008年に亡くなりました。

今回争点となっているのは、3枚の象徴的なアルバム『Are You Experienced』、『Axis: Bold As Love』、『Electric Ladyland』における、彼らの著作権および演奏者権に関するものです。

代理人を務めるサイモン・マリニッツは、レディングとミッチェルが亡くなって以降、2人は、プロデューサーやヘンドリックスの遺産管理者、さらに「彼らの著作権や演奏者の権利を認めず、報酬を支払わない大手多国籍企業」によって「疎外された」と主張しています。代理人が提出した文書によると「2人はキャリアと人生を決定づけた録音からほとんど何も得ることなく、比較的貧しい状態で亡くなった」と主張しています。

一方、ソニー・ミュージックエンタテインメントUKの弁護士であるロバート・ハウは、1960年代の契約に基づき、音源の著作権は、その録音に関わったミュージシャンたちではなく、チャス・チャンドラーやヘンドリックス自身を含む、それらのアルバムのプロデューサーたちに属すると主張しています。

さらにハウは、先述の通り、2人が楽曲の権利を放棄したと主張。その根拠として、1970年代に各メンバーへそれぞれ10万ドルと24万7500ドルが支払われた事実を挙げ、この問題はすでに数十年前に決着しているとしています。

裁判は12月18日に結審予定。