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サルサ界のレジェンド、エル・グラン・コンボの創設者ラファエル・イティエール死去

2025/12/08 19:20掲載
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Rafael Ithier
Rafael Ithier
プエルトリコを代表する老舗サルサ楽団、エル・グラン・コンボ(El Gran Combo)の創設者であるサルサ界のレジェンド、ラファエル・イティエール(Rafael Ithier)が死去。エル・グランコンボ・プエルト・リコがSNSで発表。99歳でした。

以下、エル・グランコンボ・プエルト・リコの声明より

「深い悲しみとともに、私たちの創設者であり、師であり、音楽界の大家であるドン・ラファエル・イティエール(Don Rafael Ithier Natal)の逝去をお知らせいたします。

本日、私たちは、偉大な音楽家であるだけでなく、世代を超えたサウンドの創始者、その規律、先見性、そしてサルサへの愛情によってエル・グランコンボ・プエルト・リコと世界のラテン音楽の歴史を築いたリーダーに別れを告げます

ご遺族ならびにエル・グランコンボの全メンバーを代表し、皆様から寄せられた数えきれないほどの哀悼の意、愛情、敬意の数々に心より深く感謝申し上げます。いただいた一つひとつのメッセージ、思い出、そして励ましのお言葉は、深い悲しみの中にある私たち全員にとって大きな支えとなりました。

ドン・ラファエル・イティエールのレガシーは、かつて彼の音楽で踊り、歌い、感動したすべてのステージ、すべての音符、そしてすべての心の中で、そのままの形で、生き続け、永遠に受け継がれていくでしょう。
彼の物語は続きます。

敬意と感謝を込めて、
エル・グランコンボ・プエルト・リコ」



ピアニスト、作曲家、編曲家としてエル・グラン・コンボで長年の音楽監督を務めたラファエル・イティエールは1926年生まれ。10歳でギターを始める。14歳で家族の生計を支えるため学校を中退せざるを得なかったが、彼は新たな楽器を習得し続けた。キューバのトレス、コントラバス、そして最終的にはピアノ。これが彼のキャリアを通じて象徴的な楽器となる。

1952年、イティエールは米陸軍に徴兵され韓国に駐留した。兵役後、故郷の島に戻り、パーカッション奏者のラファエル・コルティーホが率いるサルサ・オーケストラ「Cortijo y su Comb」で演奏を始めた。

1962年、イティエールを軸にエル・グラン・コンボを結成し、オーケストラのリーダーに就任した。以降、エル・グラン・コンボをラテンアメリカおよび世界を代表するサルサの殿堂へと育て上げた。

1970年代にサルサが黄金期を迎え、エル・グラン・コンボはプエルトリコにおけるこのジャンルの代表格となった。流行に流されず、プエルトリコのルーツを重んじながらあえてクラシックなサウンドを守り続けるエル・グラン・コンボのポリシー、50年以上力強いサウンド、高いクオリティを常に維持していることから「サルサ大学」と言われており、世界に名を馳す多くのビッグアーティストがこのグループから巣立っていった。イティエールは忠実なリーダーとして数十枚のアルバムを録音し、世界中のステージで演奏を続けた。

2015年、エル・グラン・コンボはラテン・グラミー賞で生涯功労賞を受賞した。