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ミュージシャンは各ストリーミング・プラットフォームから実際にどれくらいの収益を得ているのか?ロス・キャンぺシーノス!が収益の詳細を明かす

2025/12/04 13:44掲載
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Los Campesinos!, photo by Martyna Bannister
Los Campesinos!, photo by Martyna Bannister
ミュージシャンは各ストリーミング・プラットフォームから実際にどれくらいの収益を得ているのか? 英ウェールズのインディーロック/ポップ・バンド、ロス・キャンぺシーノス!(Los Campesinos!)はSpotify、TIDAL、Apple Musicなど各プラットフォームからの収益の詳細を明らかにしています。

ロス・キャンぺシーノス!は、2024年リリースの最新アルバム『All Hell』のストリーミング再生回数と各プラットフォームからの収益を公式サイトやSNSで公開しました。

分析対象にこのアルバムを選んだ理由は、彼らの7枚のアルバムの中で、分析期間の2024年7月から2025年6月までにおいて、バンド自身が全世界で完全な権利を所有し、すべての収益が計上され、直接、彼らに支払われる唯一のアルバムだから。他の6枚のアルバムは、一部の地域ではサードパーティのレコードレーベルによって管理されています。

『All Hell』は2024年7月にリリースされました。2024年7月から2025年7月までの各月ごとの再生回数と収益を示すリストが公開され、この期間の総再生回数は9,300,864回で、総収益は31,940.29ポンド(約660万円)でした。



バンドの説明によると

「このリストの数字は、ストリーミングプラットフォームが1曲の再生ごとに平均0.34ペンス(約0.7円)を私たちに支払っていることに相当します。つまり、1曲が294回再生されるごとに、当バンドは1ポンド(約200円)の収益を得るということです。言い換えれば、アルバムのフル再生回数20回ごとに1ポンドの収益を得るということです」

この期間中、ロス・キャンぺシーノス!は21の異なるソースからデジタルストリーミング収入を得ました。これにはMeta(23.95ポンド)、Snapchat(1.18ポンド)、TikTok(0.26ポンド)なども含まれます。

バンドは各ストリーミング・プラットフォームごとの収益のリストも公開しています。



『All Hell』をストリーミングした人の大多数はSpotifyを利用していたことを明らかにし、またSpotifyは主要ストリーミングプラットフォームの中で、1回の再生あたりの支払額が他のプラットフォームよりも大幅に少ないことも明らかにしています。

バンドの説明によると

「もしSpotifyで『All Hell』をストリーミングした全員が代わりにTidalを使っていたら、バンドはさらに31,847.38ポンドを受け取っていたでしょう。それは、この期間にアルバムのストリーミングで得た収益が倍増することを意味します。あるいは全員がApple Musicを使っていたら、12,331ポンド多かったでしょう。

アーティストへの報酬とは関係なく、Spotifyがストリーミングプラットフォームの中で最悪である理由は数多くあります。これらはもうご存知でしょう」

バンドはまた、『All Hell』のストリーミング再生回数と収益は最新作であるため、以前のリリースよりも多いと指摘。この数字が彼らのカタログ全体の収益を代表するものではないとも説明しています。

バンドはInstagramで収益公開の意図をこう明かしています。

「バンドの財務状況を透明かつオープンに公開したい理由は、皆さんの関心が高いこともありますが、何よりもこの透明性が将来的にバンドにとってもファンにとっても、より良く公平な音楽経済に向けた変化を生み出すのに役立つと信じているからです」

また、バンドは「結論を出したり判断したりするつもりはなく、ただデータを提示しているだけだ」と主張し、「念のためはっきりさせておきますが、ストリーミング・プラットフォームを使うことを批判しているわけではありません。誰もがストリーミングを利用している。とても苦しい状況だけど、それでも私たちは音楽が大好きです」と付け加えています。