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名セッション・ギタリスト フィル・アップチャーチ死去

2025/12/04 11:28掲載
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Phil Upchurch
Phil Upchurch
マイケル・ジャクソン、カーティス・メイフィールド、チャカ・カーン、ダニー・ハサウェイなど多くのアーティストたちのレコーディングに参加した名セッション・ギタリストのフィル・アップチャーチ(Phil Upchurch)が死去。ロサンゼルス・タイムズ紙や米Varietyが、彼の妻に、アップチャーチが11月23日にロサンゼルスで亡くなったことを確認しています。死因は明らかにされていません。84歳でした。

アップチャーチは1941年7月シカゴ生まれ。ジャズピアニストの父のもと育った。13歳の時、父からウクレレを贈られたことが音楽との最初の出会いとなった。この贈り物がきっかけで他の楽器にも挑戦し、ギター、ベース、ドラムを習得した。

オスカー・ピーターソンやジミー・スミスに影響を受けたアップチャーチは、16歳でプロのミュージシャンとして活動を開始。1960年代半ばに2年間、アメリカ陸軍に勤務しドイツに駐留した。帰国後、すぐにシカゴのチェス・レコードの常連となり、ラムゼイ・ルイスやジョン・クレマー、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフなどのジャズ・ブルースアーティストとのセッションに参加。やがて初のシングル「You Can't Sit Down (Parts 1 & 2)」を録音しヒットさせた。

キャリアを通じて、アップチャーチは約30枚のアルバムを録音し、さまざまなアーティストたちとの共演で1,000を超える録音作品に参加した。彼が制作に関わったヒットシングルには、チャカ・カーンの「I'm Every Woman」、マイケル・ジャクソンの「Workin' Day and Night」(アルバム『Off the Wall』収録)などがある。

アップチャーチは自身のスタジオバンドのメンバーとしてダニー・ハサウェイと数枚のレコードを制作した。70年代にはカーティス・メイフィールドの『Superfly』『Sparkle』などにも参加し、ジョージ・ベンソンのシングル「Six to Four」を作曲した。

アップチャーチが共演またはレコーディングに参加したアーティストには、ステイプル・シンガーズ、ナタリー・コール、ミニー・リパートン、ボブ・ディラン、アニタ・ベイカー、ドクター・ジョンなどもいる。

アップチャーチはミュージシャンとしての活動に加え、2冊の著作を出版し、亡くなる前には自伝を執筆中だった。