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スティーヴ・ポーカロ、『Thriller』時代にマイケル・ジャクソンと共作した未発表曲2曲について語る

2025/12/03 18:05掲載
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Steve Porcaro
Steve Porcaro
マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)のアルバム『Thriller』に参加した、TOTOのオリジナル・メンバーのシンセサイザー奏者スティーヴ・ポーカロ(Steve Porcaro)は、『Thriller』時代にマイケルと共作した未発表曲2曲「Chicago 1945」「Dream Away」について語っています。

同じく『Thriller』に参加したアンソニー・マリネリがホストを務めるポッドキャスト『Think Like A Synth』に出演したポーカロは、これらの楽曲が生まれた経緯をこう説明しています。

「彼は、兄弟たちとの次のプロジェクト、『Victory』というアルバムにすぐ取りかからなければならないと言っていて、そのアルバム用に何曲か曲作りとプロデュースを手伝ってほしいと頼まれたんだよ。『Thriller』が終わってから2週間後、彼はスタジオに現れ始めたんだ。

僕が作ったシンセのジャム演奏を録音したテープを渡したら、そのうちの1つ、“Chicago 1945”に彼がすごく惹かれた。1週間くらい後、デヴィッド・ペイチの家のスタジオにいた時、たくさんの技術スタッフにいろいろやってもらっていたんだけど、マイケルが突然に現れて“ヴォーカルを録りたい”って言ったんだ。

彼は僕がそこにいるのを知っていた。僕はみんなに、しばらく裏庭で待っててほしいと頼んだ。あれは僕が今まで見た中で最も信じられない光景だったよ。僕たちが取り組んでいたその曲で、彼は最初から最後まで、ヴォーカルを9テイクやった。リード、ダブル、コーラス、ハーモニーまで全部ね。

その間、テープを止めることは一度もなかった。彼は曲を丸ごと通して歌い切っては“もう1トラックお願い”って言うんだ。それを9回繰り返した後、彼は“じゃあ行くよ”って言って去っていったんだ」

「Chicago 1945」は、すべてのヴォーカルが完璧だったが、マイケルの癖になりつつあった発声音をいくつか取り除く必要があったという。

それからほんの数日後、マイケルはまたもや予告なしにポーカロの家にやってきました。

「朝の9時に誰かがドアをノックするから開けてみたらマイケルだった。彼は“何かやろう”って。誰かと向かい合って曲を書くのは苦手なんだ。何も思い浮かばないのが怖くてね。でも、2曲目の“Dream Away”は、まさに向かい合って書いたんだよ。

そこらに置いてあった本を彼が手に取って歌詞を書き、ローランドのエレクトリックピアノで弾き始めた。彼がリード・ヴォーカルを歌い、あっという間に曲が出来上がったんだ」

その2曲は今もアーカイブに眠ったままです。「Chicago 1945」は、ジャクソンズ『Victory』とマイケルの『Bad』の両方で収録候補となりましたが、いずれも採用されませんでした。「Dream Away」は没後のアルバム『Xscape』の候補になりましたが、やはり見送られました。

ポーカロはこう続けています。

「マイケルと一緒に曲を仕上げる時間はいくらでもあると思っていたんだよ。でも残念ながら、2009年に彼を失ってしまった」