Cheap Trick / Cheap Trick at Budokan
チープ・トリック(Cheap Trick) の代表作のひとつ、1978年のライヴ・アルバム『at Budokan』。アルバム・タイトルには「武道館」とありますが、プロデューサーのジャック・ダグラスによると、実際に収録されているのは、日本武道館公演ではなく大阪厚生年金会館公演の音源。ダグラスは、ポッドキャスト『Magnificent Others with Billy Corgan』の最近のインタビューの中で経緯を振り返っています。
「つまり“Budokan”は武道館じゃないんだ。あれは大阪なんだよ」
ライヴ・アルバムの制作を任されたのは、ダグラスとミキシング・エンジニアのジェイ・メッシーナでした。2人がライヴ音源を受け取ったとき、その内容に衝撃を受けたという。
「テープが送られてきて、ジェイと2人で全部聴いた。武道館の録音はひどかった。録音状態が最悪だった。マイクがオフになってたのか、向きが間違ってたのか、わからないけど、ドラムの音はほんの少ししか入ってない。ベースドラムはほぼゼロだった」
幸いなことに、ツアーで録音された別の公演は状態が良かったという。
「大阪公演のほうが良かった。ベストなパフォーマンスだったよ」
数十年後、チープ・トリックが30周年記念盤『BUDOKAN!』(CD+DVD)を準備していた際、
リック・ニールセン(Rick Nielsen) が彼に連絡してきました。
「リックが電話してきてこう言った。“武道館の映像がある。5.1ミックスをやりたい。君たちにその5.1版をミックスしてほしい”。私は“武道館の映像があるの?”と聞くと、彼が“ああ、同じミックスを使う感じでいいから…”って言うから、“でもあのミックスは大阪のやつだよ、覚えてる?”て返したんだよ」
ニールセンはアルバム音源の真の出所を忘れていました。ダグラスはこう続けています。
「それでジェイと私はこの作業に取り掛かったんだけど、Pro Toolsのおかげだよ。カット&ペースト作業だった。信じられないと思うけど、リックや彼の手元、あるいはロビンが歌っているシーンのクローズアップがあったとき、それは武道館のものなんだけど、広角ショットのシーンは大阪のものだったんだ。それはまさに…本当に、愛情を注いだ作業だった。やっていて本当に楽しかったよ」
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