トレヴァー・ホーン(Trevor Horn)はMusicRadarの新しいインタビューの中で、
バグルス(The Buggles)時代の相棒
ジェフ・ダウンズ(Geoffrey Downes/Geoff Downes)との新曲が完成したことを明らかにしています。また
ブロック・パーティ(Bloc Party)と新作を制作中であること、今の音楽業界について、ドルビーアトモス・ミックスは「この世で最も退屈なもののひとつ」と思う理由なども語っています。
Q:ジェフ・ダウンズとの新曲について
「1曲完成させたよ。今、ジェフに(トレヴァー・ホーン・バンドの)ツアーに出る気になってもらおうと試みているところ。彼は“別にやってもいいよ”と言い続けているけど、まだ実現していないんだ」
Q:今はブロック・パーティと一緒に仕事をしているんですか?
「そう。とても興味深い、かなりユニークなバンドだね。今アルバムを作っているところ。完成間近だよ。
トレヴァー・ホーンのアルバムじゃないよ。ブロック・パーティのアルバム。僕はバンドとはあまり一緒にやらない。自分の色をあまり出せないからね。シンガーと組む方がずっとやりやすい。バックトラックを作るわけだから。例えばロビー・ウィリアムズのアルバム『Reality Killed the Video Star』みたいにね。
多くの場合、バンドはエンジニア兼プロデューサーと組むほうがうまくいく。バンドの音をよくすることが一番大事だから。だから新しいアルバムはまさにブロック・パーティなんだけど、僕なりの違いを少しは加えられたと思うし、彼らにとっても良い経験になっていればいいな」
Q:最近Instagramで「音楽業界に入る方法を僕に聞かないで。僕が業界に入った頃とは全く違う世界になっているんだから!」と発言されていましたね。
「パートナーはそんなこと言うと怒るだろうけど。彼女は音楽出版の仕事をしていて、知ってのとおり音楽業界は今でも、かつてないほど多くのお金を生み出している。でも、僕みたいなレコードの時代を知っている年寄りには、今はもう存在しないみたいに感じるんだ、わかるでしょ?
Spotifyの音質は正直あまり好きじゃない。音に何か手を加える感じがしてね、好みじゃないんだ。昔はカセットが大好きだった。カセットは何でもロマンチックにしてくれたから。低品質なデジタルフォーマットの多くは、どうしても少し台無しにしてしまう。まあ、結局は何で再生して聴くかにもよるけど――小さなパソコン用スピーカーで聴くだけなら、違いにはたぶん気づかないだろうね。失われているのは、いわゆる“中間”の情報なんだ。
ある人から聞いた話なんだけど、ある連中がAIで大量の楽曲を生成して、大量のコンピューターを買い込んで24時間ストリーミングし続けることでSpotifyを騙したらしいね。音楽業界ってそういうものだよね? 本物の人間を排除できる方法があれば、必ずそうするんだよ。バンドも同じさ。1920~30年代のバンドは規模が大きく、20人編成も珍しくなかった。今じゃ、2~3人いればいいほうだ。ツアーに出ても、全部テープから流している。
ライヴに行くと、テープと生演奏の区別がつかないこともある。あまりにも簡単だからね。昔はずっと難しかった。不可能ではなかったけど、よく思われなかった。ジェフ・リンがE.L.O.で最初にツアーに出たとき、24トラックを2台つないでマスターテープを再生していたけど、みんなそれを嫌がっていたのを覚えてる。今じゃ、誰もがやってるよ」
Q:スティーヴン・ウィルソンによるフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド『Welcome to the Pleasuredome』の新しいドルビーアトモス・ミックスはもう聴きましたか? アトモスに興味はありますか?
「ほんの少しだけね。聴いたことはないし、彼らは僕に意見を求めたりしない。僕はアトモス・ミックスはやらない。あれはこの世で最も退屈なもののひとつだと思う。音楽はそういう形で聴くべきものじゃないと思う。ステレオで十分だ」