『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』『LAZARUS ラザロ』などで知られるアニメーション監督の渡辺信一郎が今一番コラボレーションしたいクリエイターは細野晴臣だという。米メディアThe A.V. Clubの新しいインタビューの中で語っています。
Q:あなたの作品の多くには、西洋やアメリカのポップカルチャーの影響が見受けられます。初めてアメリカの文化や音楽に興味を持ったきっかけは何でしたか?
「10代前半の頃からずっと、日本の映画や音楽よりもアメリカの映画や音楽の方が好きでした。それは、ここではないどこかへ逃れたい、という願望から来ていると思います。つまり、自分にとって身近な文化ではなく、異質な文化への憧れが原点だったと思います。
ひとつ付け加えると、私は全く文化らしいもののない田舎町で育ちました。そのことも大いに影響していると思います。どれくらい田舎だったかというと、お店は一軒もなく、バスも走っていませんでした」
Q:あなたの作品では音楽がとても重要視されていますね。優れたサウンドトラックがアニメをいかに高められるか、あなたの考えを聞かせてください。
「従来の考え方では、サウンドトラックは目立ちすぎず、物語を支える存在であるべきだと言われていきました。しかし私は音楽オタクなので、その使い方だけでは物足りないといつも感じていました。
だからこそ、私のすべてのプロジェクトでは、映像(映画/番組)と音楽が50/50のパートナーとなる関係を築こうと試みています。そのパートナーシップが機能するよう、常に全力で取り組んでいます。その探求に対する答えは、今でも試行錯誤だと感じていますし、これからもさまざまなアプローチを試し続けていきます」
Q:27年以上が経った今でも、『カウボーイビバップ』は非常に高く評価されています。作品の中で今も色褪せないテーマの一つは、登場人物の多くが深い孤独感と向き合っている点です。『ビバップ』の継続的な魅力の一端は、蔓延する孤独感や資本主義下での疎外感、環境問題など、今もなお変わらず重要なテーマに向き合った点にあると思いますか?
「その見解は正しいと思います。むしろ、今ほど疎外感や孤独感を抱えている時代はないのではないでしょうか」
Q:作品を作るときは、近い将来も共感を呼ぶようなコンセプトやテーマに焦点を当てようとしていますか?
「私が心から信じているマイルス・デイヴィスの言葉があります。“その時代の最先端を行く、真に革新的なものだけが、その時代を超えて生き残ることができる”という趣旨の言葉です。正確な引用ではないかもしれませんが、それが私の解釈です」
Q:今後、まだ手がけていないジャンルや題材で挑戦したいものはありますか?
「ホラーは一度もやったことがないので、次回作ではぜひそのジャンルに挑戦してみたいです。ただ、アイデアは頭の中にあるだけなので、あまり多くは語れません」
Q:同様に、これまでコラボレーションしていないクリエイターの中で、一緒に仕事をしてみたい人はいますか?
「ぜひご一緒したいミュージシャンが一人います。細野晴臣さんという日本の音楽家です。彼はYellow Magic Orchestraという日本のバンドのリーダーで、私が若い頃に最も影響を受けた存在です。私にとって最も影響を受けた方なので、キャリアの中でぜひ一度ご一緒する機会をいただけたらと思っています」