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「著名な歌手であることは早期死亡リスクを高める」 名声は寿命を平均4.6年縮めると研究者が指摘

2025/11/27 09:52掲載
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Vocal music
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「著名な歌手であることは早期死亡リスクを高める」と研究者が指摘しています。欧米の歌手たちを対象とした分析では、名声を得た歌手は知名度の低い歌手より、平均寿命は4.6年短いという。また分析によると、ソロ歌手は著名バンドのリードシンガーよりも死亡リスクが高いという。全体として著名な歌手は知名度の低い歌手より死亡リスクが33%高いと報告しています。英ガーディアン紙が特集しています。

これはライフスタイルや職業ではなく、名声そのものが死亡リスクが高まる主要な要因であることを示唆しています。またソロ歌手の方が著名バンドのリードシンガーよりも死亡リスクが高いのは、より多くの注目を集め、より大きなプレッシャーに直面しているためであると指摘されています。

この研究はJournal of Epidemiology and Community Healthに掲載されました。本研究の上席著者であるMichael Dufner教授は、ドイツのヴィッテン・ヘァデッケ大学で人格・心理・診断学を専門としています。

名声が早期死亡のリスクに影響するかを調べるため、研究チームは、著名なソロ歌手またはリードシンガー324人を特定し、年齢、性別、国籍、民族、音楽ジャンルが同じで、あまり有名ではないミュージシャンと対比しました。死亡事例を十分に確保するため、1950年から1990年の間に活動したアーティストに焦点を当てました。

歌手の大半は米国出身の白人男性ロッカーでした。黒人は19%、女性は16.5%でした。最年長は1910年生まれ、最年少は1975年生まれで、半数以上がバンド活動を行っていました。

研究チームが誰が何歳で亡くなったかを調べたところ、明確な傾向が明らかになりました。

著名な歌手は平均して75歳まで生きたのに対し、知名度の低い歌手は平均79歳まで生きました。またバンドのメンバーであることは、ソロで活動する場合と比較して死亡リスクが26%低いことが分かりました。全体として著名な歌手は、比較対象の知名度の低い歌手より死亡リスクが33%高かったことも報告されています。

Dufner教授は、絶え間ない世間の監視、プライバシーの喪失、パフォーマンスへのプレッシャー、そして飲酒や薬物乱用の常態化が影響を及ぼしている可能性が高いと指摘。ただし気質や幼少期のトラウマなど他の要因も存在するとも語っています。

現代のスターたちは何をすべきかと問われると、Dufner教授は、簡単に手に入るドラッグや、親しい友人や家族からの深い孤立など、ツアーのライフスタイルがいかに不健康になり得るかを認識することが重要だと答えました。「こうした状況への良い対策は、定期的に一歩引いて家族や旧友と会い、自分のライフスタイルを批判的に評価することです」とも語っています。