
Peter Tork and Jimi Hendrix photographed in 1967 (Image credit: Micky Dolenz)
1967年、
モンキーズ(The Monkees)は
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(The Jimi Hendrix Experience)をツアーのオープニングアクトに抜擢したが、そもそも客層が違うため、エクスペリエンスは数回の公演でツアーを降板しました。明らかに良策ではなかったこの組み合わせが、なぜ実現したのか? モンキーズの
ミッキー・ドレンツ(Micky Dolenz)は米Guitar Playerの新しいインタビューの中で「あの狂ったロックンロールのトリビアの責任は僕にある」と語り、当時を振り返っています。
ドレンツは、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス結成前のジミー・ジェームズ・アンド・ザ・ブルー・フレイムズ時代から、
ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)のファンでした。
「ニューヨークのカフェ・オー・ゴー・ゴーでジョン・ハモンドと一緒に彼を見たことがあるんだ。歯でギターを弾く男として有名になったんだよ。
(それから1年以上が経った頃、エクスペリエンスを結成していたヘンドリックスを再び目撃する)
僕はモンタレー・ポップ・フェスティバルにいたんだけど、突然、ステージにクレイジーな格好をした3人組が出てきたんだ。見てすぐに言ったよ、“おい、あれは歯でギターを弾いた男だ!”ってね。
(ヘンドリックスはモンタレーで、ギターに火をつけたり、ギターを粉々に叩き壊すパフォーマンスを行う)
彼の才能はもちろん、ノエル・レディングやミッチ(ミッチェル)にも圧倒された。これまで聴いた中で最も信じられないロックブルースだったよ。みんながそうだったように、僕も言葉を失ったよ。
(この時、モンキーズは全米ツアーを計画中だった)
オープニング・アクトを探していたんだ。それで番組のプロデューサーに彼を推薦した。“彼ってすごく演劇的だろ?”ってね。実際そうだったし。モンキーズも本質的には演劇的なアクトだった。だって僕らはテレビ番組だったんだから。
だから相性が良いと思ったし、彼の音楽が大好きだったからね。それが推薦した大きな理由だよ。“すごく良さそうだ”と思ったんだ」
こうしモンキーズは初のアメリカツアーのオープニングアクトにエクスペリエンスを抜擢します。このツアーを推進したプロデューサーのディック・クラークは後にこう振り返っています。
「確かに懸念や懐疑的な見方もあった。誰の目にも相性のいい取り合わせじゃないのは明らかだったからね。でも(モンキーズが)望んだことであり、契約は結ばれた。彼らは自分たちを魅力的な組み合わせだと自負していた。でも、実際はそうじゃなかったし、観客は完全に置いてけぼりだった」
ツアーは1967年7月8日にフロリダ州ジャクソンビルで始りますが、観客の反応は予想通りで、会場はモンキーズの熱狂的なファンに支配され、エクスペリエンスは「モンキーズを呼べ!」「デイビーが見たい!」というコールの中で演奏することになりました。そして、ツアー開始から2週間足らずでエクスペリエンスはツアーを降板しました。
ドレンツは今、こう振り返っています。
「彼は嫌な思いをし、僕たちもひどく気まずかった。でも彼は僕らのせいじゃないと分かっていたし、僕らも彼のせいじゃないと分かっていた。そういうこともあるさ。彼が素晴らしいアーティストであることは分かっていたし、それに断言するけど、ジミ・ヘンドリックスはモンキーズのオープニング・アクトなんかしなくても十分成功していたさ。
僕らはみんなすごく仲良くなった。彼はとても親切で、物静かで、とても穏やかな人で、ステージ上の彼とはまるで別人だった。一緒に過ごす時間は本当に楽しかったよ」