TOTO の創設メンバー、
スティーヴ・ポーカロ(Steve Porcaro) はRock Cellar Magazineの新しいインタビューの中で、自身の声には限界があるのでマイケル・ジャクソンなどの本物のシンガーが自分の曲を歌ってくれたのは本当に最高だったと語る。また、自分が書きたかった他人の曲や、見たかったレコーディング・セッションについても語っています。
Q:あなたの曲では、ご自身が歌う曲もあれば、外部からアーティストを招く場合もありますよね。ご自身のビジョンを実現するためにキャスティングを行う際の考え方を教えてください。
「僕は、自分をソングライターとして、純粋にソングライターとして見ようとしている。僕の声は非常に限られているから歌える曲だけを作っていると、ソングライティングの幅が狭まってしまうんだ。
TOTOのファースト・アルバムでは歌ったよ。“Hold The Line”のB面を担当したんだ。『Toto IV』では“Rosanna”のB面を担当した。というか、今どきの人はそもそもB面って何か知らないかもしれないね(笑)。僕の曲は、バンドが絶対にシングルにはならないって確信してたからこそ、45回転のレコードのB面に収録されて世に出たんだ。それで僕が歌ったわけさ。
ソングライターとしては、『Thriller』でマイケル・ジャクソンが歌ってくれた“Human Nature”とか、本物のシンガーが自分の曲を歌ってくれたのは本当に最高だったよ。彼らがどんな解釈を加えてくれるのか見られるのもね。
“Human Nature”の僕のデモはネットで聴けるよ。クインシー(ジョーンズ)が聴いたのも、この僕が歌ったデモなんだ。惹きつけたのは曲の雰囲気やノリであって、僕の歌唱力じゃなかった。クインシーはマイケルならそれで何ができるかを考えたんだ。そしてマイケルは、それをまったく別の次元へと引き上げたんだよ」
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Q:人生で深く感動した曲、あるいは「くそっ、これ自分が書きたかった!」と思った曲はありますか?
「それは簡単に答えられるよ。スティーリー・ダンの曲はどれも、音楽的にクールだったから、みんなの心に響いたんだ。しかも、ちゃんとキャッチーで印象的な部分もある。キャッチーなポップソングなんだよ。さらに歌詞が段違いに良かった。書いていた彼らは博識で頭が切れる連中だってわかるし、サウンドもとてもクールで、ありがちな甘ったるいラブソングみたいなものばかりじゃなかった。洞窟壁画とか、あらゆる題材を取り上げていた(笑)。本当に幅広いテーマを扱っていて、それがすごくクールでキャッチーで、今思えば多くの要素を満たしていたんだ。
あと、ビートルズで育ったことも大きい。彼らのちょっと風変わりな曲、“Eleanor Rigby”とか“I Am The Walrus”とかね。例はたくさんある。“Martha My Dear”もそうだし、“Penny Lane”も。ああいう曲は全部、雷に打たれたみたいにガツンと来たんだ」
Q:もしスタジオに潜入して、壁にとまったハエみたいになってセッションの一部始終を見られるとしたら、どのセッションを選びますか?
「たぶんビートルズ、どのセッションでも。あと、スティーリー・ダンみたいに自分が大好きなアーティストもね。でも実際そこにいたら拷問みたいなものだっただろうね。退屈で無意味だと思う。正直に言うと、僕らが関わっていた“ヨット・ロック”の多くでもそうだけど、スタジオでの完璧主義のいくつかは僕を乾いた気分にさせるというか、冷めさせるところがあるんだ。目的のためだけの完璧主義が行き過ぎてたんだ。
とはいえ、ビートルズが“A Day In The Life”や“I Am The Walrus”をやっていたとき、あの楽曲を組み立ててオーケストラ奏者たちをを招き入れていた現場には、ぜひ居合わせたかったね」