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レッチリ作品のミキシング・エンジニア、リック・ルービンからの要求「アンソニーの声が老けて聴こえる。もっと若く聴こえるようにしてくれ」を回想

2025/11/18 20:54掲載
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Rick Rubin
Rick Rubin
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)の2006年アルバム『Stadium Arcadium』。グラミー賞受賞歴もあるミキシング・エンジニアのライアン・ヒューイットはプロデューサーのリック・ルービン(Rick Rubin)から「アンソニー(キーディス)の声が老けて聴こえる。もっと若く聴こえるようにしてくれ」という奇妙な要求を受けた経験を、PMC Speakersの最近のインタビューの中で振り返っています。

「ミックスをリック・ルービンに送ったんだよ。そしたら彼は“アンソニーの声が老けて聴こえる。もっと若く聴こえるようにしてくれ”って言うんだよ。僕は“そんな調整ができる、つまみ(ノブ)があればいいんだけど”って思ったよ」

その要求は荒唐無稽ように聞こえましたが、ルービンが求めた以上、実現可能だとヒューイットは理解していました。問題は「どうやって?」でした。彼はこう語っています。

「それで“どういう意味だ?他の曲を聴いてみよう”と考え始めたんだ。“ああ、ここでは彼は若く聴こえるな。なぜだ? そうか、声の低中域が多すぎるんだ”って気付いたよ」

この突破口を得て、ヒューイットは作業に取りかかりました。

「必要だったのは存在感の強化だった。胸の響きを減らして、もっと…何というか…声帯の音を前に出す感じ」

ヒューイットは仕上がりに満足し、ミックスをルービンに送りました。すると、さらに難題が返ってきました。

「“5年若返らせたね。もう5年歳若返らせてみろ”。僕は“うわっ、わかった…”って思ったけど、でも、解釈は合ってたんだよ。

若々しさって感覚をミックスでどうやって高めればいいんだ?って話になるよね。他に誰も“年齢のつまみを下げろ”なんて言う人いないでしょう? だから、どうやってそれを解決するかっていうチャレンジが降ってくるんだ。

(どんな相手からの要求でも)その重要度が下がるわけじゃない。誰かがミックスを依頼して“若く聴こえるようにしてくれ”と言ったなら、いわゆる“正しい”受け止め方はこうだ。“よし、任せろ。若く聴こえるようにしてみせる”。

“どうやってやるかはわからないけど、でも、ここには、つまみとかいろんなものが付いてる機材が山ほどあるから、なんとかするさ”ってね。最高のギターサウンドをどうやって作るかを突き詰めるのと同じくらいワクワクするよ。僕たちが取り組むどんな課題もそうなんだよ」