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プリンスのペイズリーパークで、プリンスの盟友プロデュースで録音されたファイン・ヤング・カニバルズ「She Drives Me Crazy」 メンバーが経緯語る

2025/11/11 18:49掲載
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Fine Young Cannibals / The Raw & The Cooked
Fine Young Cannibals / The Raw & The Cooked
プリンス(Prince)のペイズリー・パーク・スタジオで、プリンスの盟友デヴィッド・Zとの共同プロデュースによって録音された、ファイン・ヤング・カニバルズ(Fine Young Cannibals)のヒット曲「She Drives Me Crazy」。プリンスの楽器・機材・手法も使われたこの曲は、なぜこれほどまでにプリンスと関係があるのか? メンバーのデイヴィッド・スティールが英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で、楽曲誕生の経緯を語っています。

「She Drives Me Crazy」は1988年にリリースした、彼らの2作目にして最後のアルバム『The Raw & the Cooked』に収録されています。

「スタジオでいろいろ遊んでいるうちに、後に“She Drives Me Crazy”のリフとビートになるものを思いついた。ただ、その時点ではもっとロック寄りで、誰もそれをあまり気に入らなかったので、未完成曲の箱行きになったんだ。

“Good Thing”は“ビッグ・シングル”になる予定だったんだけど、ロンドン・レコードが他の曲で別のプロデューサーと組んでほしいと言い出してきた。僕らは“プリンス以外とはやらない”と返すと、彼らは“プリンスは無理だ!”と言いつつも、彼のエンジニアのデヴィッド・Zを提案して、しかもプリンスのスタジオ、ペイズリー・パークで作業することができると言った。何曲か送って、“She Drives Me Crazy”の初期ヴァージョンを送ると、デヴィッドが“これだ! すぐ来い”と返事をくれた。

デヴィッドはプリンスの部屋と機材を自由に使わせてくれた。隅には『Purple Rain』のギターが置いてあって、彼のラバランプがあちこちにあり、ミキシングデスクはスライ&ザ・ファミリー・ストーンが使っていたものだった。あの空間にいれば、誰だって自然とインスピレーションが湧く。プリンスのワウワウ・ペダルにキーボードを通すなど、様々な試みもした。アンディ(コックス/ギタリスト)はプリンスのリッケンバッカーでリフを弾いた。デヴィッドはスネア音について、ゲート処理だとか、何だとか、とてもややこしい説明をしていたけど、実のところ大半はプリンスのドラムマシンにプリセットされていたコンガだった。

その後、ロンドンからヴォーカル録りにローランド(ギフト)が来たとき、歌詞がまだ足りていなかった。プリンスに歌詞を書いてもらうことも一瞬考えたけど、そうするともうプリンスの曲になってしまう。代わりに、僕が持っていた曲名のノートに“She Drives Me Crazy”があって、そこから始めた。ローランドと僕は、ウィリアム・バロウズのカットアップみたいに、別の自分たちの曲から一行拝借したりしながら歌詞を仕上げた。ローランドはファルセットと通常のヴォーカルを並行させるように重ね録りした。プリンスが“If I Was Your Girlfriend”で使っていた手法だよ。

プリンスは近くにいたんだけど、僕らは気後れして迷惑をかけたくなかった。やがて“She Drives Me Crazy”がペイズリー・パークで録音された初のNo.1シングルになった後、プリンスはライヴ後のジャムでこの曲を演奏してくれ、僕らも正式に会えるはずだった。結局会えなかったけれど、時には謎を残しておくのも悪くないよ」