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ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォード、ロック界でかつてアルコールやドラッグがはびこったのは「同調圧力」だったと語る

2025/11/11 18:04掲載
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Rob Halford
Rob Halford
ジューダス・プリースト(Judas Priest)ロブ・ハルフォード(Rob Halford)は、ロック界でかつて、アルコールやドラッグがはびこったのは「同調圧力」だったと語る。ロックミュージシャンの狂った危険行為を綴った物語を読むと「そういうことをやらなきゃいけない」「あの人もやったから俺もやらなきゃ」となっていたと、先日開催された「Rock 'N' Roll Fantasy Camp」でのQ&Aセッションの中で語っています。

「初めてクリーンでシラフな状態でプリーストの公演を行ったのは、1986年5月、ニューメキシコ州アルバカーキのティングレー・コロシアム公演だった。俺は心底怖かった。恐怖でいっぱいだった。初めてクリーンでシラフの状態で歌った時は、本当に特別だった。音楽を初めて純粋な形で、現実の中で、何ものにも邪魔されずに感じられて、ものすごく高揚した。自分の声や、その声で何ができるか、バンドメイトたちの音も、はっきりと聴こえた。俺にはああいうものは必要なかった。今の自分にたどり着くのに、何ひとつ必要じゃなかったんだ。

俺たちの業界にはかつて、人がどんどんダメになっていく、ひどく道を踏み外す恐ろしい習慣があった。だけど多くの仲間が立ち直った。今ではツアーバスが会場に着くと、バンドの連中がバスから飛び降りて、荷物棚のそばでダンベルを取り出したり、縄跳びを始めたりする。本当に素晴らしいことだよ。今は昔ほど問題じゃなくなった。あの頃は同調圧力だったんだ。今はそういうことは減った。ロックミュージシャンの狂った危険行為を綴った物語を読むと、通過儀礼のような気がして、わけもなく、“俺もそういうことをやらなきゃいけない”“あの人もやったから俺もやらなきゃ”ってなっていた。そうやって、自分の人生を別の目的のために差し出してしまう。でも本当は、そんなことはしちゃいけないんだよ。

とにかく、神の恵みによって今、俺は生きている。一日一日を大切にね。もう、吐き気と疲れ果てた状態で目覚めるのは絶対に嫌だ。昔はまさにそうだったけどね。

(インタビュアー:自身を変えた決定的な瞬間、閃きの瞬間があったのですか?)

ああ、あったよ。その瞬間を言葉にするのは難しいけど、胃洗浄を受けた時だ。もう気分の悪さにうんざりして、周りのすべてが真っ黒で暗くて、そこから全部逃げ出したかった、それが、俺が経験した最初の大きなメンタルクライシス(※精神的な不調や危機的な状況)の一部だった。それから間もなく、何度目か壁を殴ったあとに……壁の修理が必要になったよ、俺は殴るやつだったから。酒をたくさん飲むと、自分に腹が立ってきて、壁を殴り始めるんだ。

回復の途上にある人なら誰でもこう言うだろう。もううんざりだ、これ以上うんざりしている自分に耐えられない、という瞬間が必ず訪れる。そしてその時こそ、変化を起こす時だ、と。そこから先は楽になる? いや、違う。毎日――少なくとも俺にとっては毎日、ビールのCMや蒸留酒のCMが流れるたびに、感情が揺さぶられる。驚くほどにね。それは決して消えない。だから依存症って呼ばれているんだ。俺は依存者だ。アルコールと薬物の依存症から回復の途上にある。体から完全に消えることは決してない。今この瞬間も、ハイアーパワー(※アルコール依存症者の自助グループであるAAで用いられる概念)、つまりクリーンでシラフでいることで得られるツールから引き出す強さと力が支えになっている。それは常に心の奥で動き続けている。だから、今この場所にいられて、今この瞬間を生きられていることに、ただただ幸せで感謝しているんだ」