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キッス「God Gave Rock 'N' Roll to You II」はアージェント楽曲を改変したもの 作詞作曲者はキッス版をどう思っているのか語る

2025/11/10 21:22掲載
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Kiss - God Gave Rock ‘n’ Roll To You II (Official Music Video)
Kiss - God Gave Rock ‘n’ Roll To You II (Official Music Video)
キッス(KISS)の「God Gave Rock 'N' Roll to You II」はアージェント(Argent)が1973年に発表した「God Gave Rock and Roll to You」を改変したものです。オリジナルの作詞作曲を手がけたラス・バラード(Russ Ballard)は、キッス・ヴァージョンのことをどう思っているのか? 英Classic Rockの新しいインタビューの中で語っています。

バラードは1973年初頭、「God Gave Rock and Roll to You」を書きました。

「“God Gave Rock and Roll to You”を書き始めたとき、至福を感じたんだ。それは前年に感じていた感情とは正反対だった。両親が同時に重い病気になって、父は前立腺がん、母は大腸がんだった。僕は心底落ち込んでいた。その時期に“I Don’t Believe In Miracles”を書いたが、曲の終わりにはピアノの鍵盤に顔を伏せて泣いてしまったんだよ。

あの鬱状態から抜け出せたのは本当に素晴らしかった。すごく高揚した。書くのに、たぶん20分しかかからなかったと思う。昔からゴスペルが好きだった。歌詞では、僕らは信じられないくらい素晴らしい惑星に生きていること、情熱を見出せばこの世界は意味を持つと歌っている。

この曲は、僕が21歳の誕生日にもらった重厚なEavestaffのアップライト・ピアノで書いた。ロックの曲としては奇妙に思えるかもしれないけど、“Since You’ve Been Gone”もピアノで書いたんだ。子どもの頃はクラシック・ピアノを習っていて、両親が部屋を出るとすぐにジェリー・リー・ルイスの曲を弾いていたよ」

リリースから約20年後の1990年代初頭、バラードは米国のレコード会社のロビーに座っていたところ、元ブロンディのナイジェル・ハリソンから話しかけられ、映画『ビルとテッドの地獄旅行』の企画について話し始めたという。

「ナイジェルが、サウンドトラックをまとめていて、ラストシーンに“God Gave Rock And Roll To You”を提案したと言っていた。で、いくつかのバンドを試した後、戻ってきて“キッスがやることになった”って言われたんだ。

1973年ごろのある夜、俺たちはニューヨークでウィッシュボーン・アッシュとキッスと一緒に演奏したことがある。当時、彼らはまだ無名だった。サウンドチェックではノーメイクだったけど、その夜、彼らがステージに上がった時、僕は袖にいたんだけど、突然、キッスがメイクと厚底ヒールで現れた。身長は長7.5フィート(約2.3メートル)近くあった。素晴らしいライヴだったよ」

キッス・ヴァージョンは「God Gave Rock & Roll To You II」というタイトルとなり、テンポが上がり、歌詞の一部が変更されました。バラードはそれを支持しました。

「新しい歌詞のほうがより普遍的で、キッスのやっていたことにぴったりだった。面白いことに、僕が曲を書いたときの速さは、キッスがやったのと同じくらいのスピードだったんだ。大半の人がこの曲をキッスの曲だと思っていても気にしないよ。ジーンはTV番組の『School Of Rock』で“俺がGod Gave Rock And Roll To Youを書いたとき…”なんて言ってたらしいけどね。少なくともロイヤリティは良い。あの曲が僕にどれだけ稼がせたかは神のみぞ知るが、おそらく今の家を買えたくらいだろうね。

この曲は今後100年にわたって人々の心に響くと思う。人々が神の存在を信じようと信じまいとね。僕にとって音楽は救いだった。要するに僕が伝えたかったのは、神は僕にロックンロールを与えてくれた、ということ。あと、あの一節、“若くあり続け、老いることのない者よ、音楽は君の夢を解き放つ”。今でもそう信じているよ」