
Jack White, photo by Theo Wargo/Getty Images for RRHOF
ホワイト・ストライプス(The White Stripes)がロックの殿堂入りを果たしました。残念ながら
メグ・ホワイト(Meg White)は式典には出席しませんでしたが、
ジャック・ホワイト(Jack White)がスピーチを行い、メグからのメッセージを伝えています。またジャックは、メグに送るつもりだったという詩を朗読しています。
「先日、メグ・ホワイトと話したんだ。彼女は今夜ここに来られなくて本当に残念だと言っていた。彼女からは、長年にわたって自身を支えてくれた全ての人々に心から感謝していること、そして今夜のこの場が自身にとって本当に大きな意味を持つことを伝えてほしいと頼まれた。
この数日間、彼女はこのスピーチ原稿を書くのを手伝ってくれた。僕が書いたものを彼女に送って、チェックしてもらったんだ。句読点の修正もたくさんしてくれた。彼女はそういうのが結構得意なんだよ。
彼女は皆さんにこう伝えてほしいと言っていた。
“ねえジャック、覚えてる? 私たちが歩いていると、なぜか動物たちがじっとこっちを見ることがあったでしょ。理由はわからないけれど、立ち止まって私たちを見つめるていた。デトロイト動物園でも、象がまったく同じことをしたことがあったわよね”
彼女は、そのことを皆さんに伝えてほしいと僕に頼んだ」
その後、自身とメグの音楽的影響について語ったジャックは、こう続けています。
「僕は、おそらく皆さんが聞いたことのないようなバンドにたくさん参加してきたけど、どういうわけか、僕が参加していたホワイト・ストライプスという2人組のプロジェクトが、特に人々に共感を呼んだ。なぜこうしたものが人々に共感を呼ぶのか、その理由はわからない。けれども、人々が反応し、共感してくれることは、アーティストやミュージシャンにとって、この上なく素晴らしいことだ。だからこそ、若いアーティストたちに伝えたい。手を汚せ、画面から離れろ、ガレージや小さな部屋にこもって没頭しろ。何かに没頭しろ。情熱を持て。君たちが生み出すものを、僕たちはみんな共有したいんだ」
そして最後にこう話しています。
「最後に、これをメグに送るつもりだったんだけど、結局送れなかったから、今夜みんなに読んでみようと思う。
あるとき、女の子が木に登った。その木には少年がいて、彼女は彼が自分の兄弟だと思った。その木はまばゆく美しく見えたが、ただの樫の木だった。この2人は世界をとても愛していたので、パレード用の山車を作り上げることにした。樫の木の後ろにあるガレージで、自らの手で作り上げたのだ。少年は車輪のついた巨大なペパーミント(の山車)を見て誇りを感じた。モーターシティ(デトロイト)で、まるで大きな工場で生み出されたような仕上がりへの誇り。でも実際には彼らのガレージで作った。
彼は女の子を見た。やはり姉妹だと思った。そして“小さな悪ガキ”みたいに言った。“ショーをやろうぜ”と。2人はその山車でキャス・コリドーをパレードして練り歩いた。ペパーミントの上に立ち、白い馬に引かれて…いや、赤いエコノラインのバンだったかもしれない。通り過ぎた街区の多くは人影はなかったが、いくつかは人がいた。
中には歓声を上げる人もいれば、笑う人も、石を投げる人もいた。2人は素手で手拍子を始め、歌い、即興の歌を作り上げた。見続ける人もいれば、揺れ動く人、身動きする人もいた。やがて一人が微笑んだ。少年と少女は互いを見つめ合い、彼らもまた微笑んだ。
そして2人は感じた。傲慢の罪を。だがそれでも微笑み続けた。新たな自由から湧き上がる微笑みで。自分たちが分かち合い、誰かの心を動かしたのだと知りながら。2人は自分たちに微笑みかけているその人は見知らぬ人、全く知らない誰かだと思った。けれど、それはただの見知らぬ人ではなかった。神だった。
姉妹も僕も心から感謝しています。本当にありがとうございました」