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ヴィンテージギターブームの問題点「実際には良くない音を“良い音なんだ”と自己暗示で納得させようとする傾向がある」とヴァーノン・リード語る

2025/11/07 18:56掲載
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Vernon Reid
Vernon Reid
ヴィンテージギターブームについて「ギターはヴィンテージだったり、ずっと欲しかった一本だったりすると、そのギターが実際には良くない音でも、自分に“良い音なんだ”って言い聞かせて納得させようとする傾向がある」とリヴィング・カラー(Living Colour)ヴァーノン・リード(Vernon Reid)がUltimate Guitarのポッドキャスト『On the Record』の新しいインタビューの中で語っています。

「エレキギターはアンプに繋がない状態でも良い音がしないとダメなんだ。本当にそう。もしエレキギターが共鳴しなかったり、アンプに繋がないと良い音がしないなら、ピックアップがその音の欠陥やデッドスポットを補わなければならなくなる。だから面白いことに、本当に優れたエレキギターはアコースティックでも良い音を出す。実際に良い音がする。完全なアコースティックギターのような音ではないかもしれないけど、コードを弾けば共鳴する。ピックアップは、そこに元々ある音を増幅しているだけなんだ。

そのことに気づいたのは何年も前のことだ。昔はB.C.リッチが大好きだった。ずっと憧れていたB.C.リッチのイーグルを手に入れた。でもしばらく使ってみて気づいたんだよ。ピックアップがボディの欠点を補っていたってことに。ボディ自体は正直ちょっと死んでて、ピックアップがそれを補っていた。俺の夢のギターだったんだけど、結局、手放すしかなかったよ。

ギターの面白いところのひとつはね、ヴィンテージだったり、ずっと欲しかった一本だったりすると、そのギターが良くなくても、自分に“良いんだ”って言い聞かせて信じ込んで、しばらく使い続けちゃうこと。“これは1950年代の何々レスポールで、あれで、これで…”みたいにね。

新品同様ってのもさ。ギターが新品同様なのは、誰も弾かなかったからで、つまり最初から良くなかったからっていう説もある。見た目は完璧。傷一つないのは、みんな隣のギターを選んでいたから。そうして手付かずで年月を重ねてきた、ほとんど完璧に見える一本が残るんだけど、そこで気づくんだ。実は良くないってね。

それが核心なんだ。重要なのは感覚さ。ブランドや年代なんて本当に関係ない。結局のところ、そのギターが2万5千ドルのギターでも、200ドルのギターでも、君が手に取ってどう弾くかだ。それだけさ。

ブランド…うん、それは重要だ。だって品質の基準だから。同時に物語でもある。大量生産であれ手作りであれ、ギターはちゃんと機能しなきゃいけない。もし良い日で、ギター職人の調子も良く、全てが完璧で木材も良ければ、どうなると思う? 傑作で素晴らしいものになるんだ。

ギターに物語があるなら、そのギターが中国製だろうと、メキシコ製だろうと、大量生産品だろうと、ベトナム製だろうと、それを作ったギター職人がダメな奴って意味じゃない。つまり、どういう経緯であれ、実際の姿がどうであれ、君の手が汗ばむ感覚、それこそが本当に……それだけが、唯一の真実の物語なんだよ」