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メタリカのステージ上に「アンプの壁」はなくなった ターニングポイントは2013年の南極公演だったとギターテック語る

2025/11/07 13:32掲載
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Marshall wall
Marshall wall
ステージ後方にアンプを壁のように積み上げた「マーシャルの壁」は何十年もの間、ヘヴィメタル・バンドのライヴの見どころの一部でしたが、メタリカ(Metallica)は現在、ステージ上にアンプの壁はありません。メタリカが物理的なアンプからデジタル・アンプ・モデラーへ移行したターニング・ポイントとなったのは、2013年の南極コンサートだったと、メタリカのフロントマン、ジェイムズ・ヘットフィールド(James Hetfield)のギターテックであるチャド・ザイミッシュが米Guitar World誌の新しいインタビューの中で明かしています。

現在は、デジタル・アンプ・モデラーの普及と品質の向上に伴い、多くのバンドが重いアンプを避け、代わりにライヴ・サウンド用にコンパクトなモデラーを選ぶようになっています。

ザイミッシュによると、メタリカのモデラー移行には決定的なきっかけがありました。それは2013年に南極大陸で行われた『Freeze 'Em All』コンサートでした。

「スピーカーが使えない南極での公演を実現するために解決策を模索せざるを得なかったんだ。環境保護のため、騒音公害を一切許されなかった。最初から多くの助けがあった。Fractalのマット・ピコーネが来てくれて、すべてのサウンドを準備してくれた。僕たちとバンドにとって、確かに最初は慣れるまで大変だったけど、それを乗り越えると、誰もがその便利さに目を向けるようになったんだ。

ジェイムズは物事のあらゆる長所と短所を知りたがる。そう、彼は望むものなら何でも試してみる。彼が“俺たちこそがこれを受け入れて最大限に活用するべきなんじゃないか”と決断したことは、本当に称賛に値するよ。(クルーの)僕たちもこの技術を使うことにワクワクしていたしね」

ザイミッシュはまた、サウンド面だけでなく、ステージから物理的なアンプの壁を取り除くことはステージデザインの面で新たな可能性をもたらしたとも語っています。

「セットデザインのスタッフは、このスピーカーの壁がなくなれば、代わりに使えるものがたくさんあることに気づいたんだよ。最近はみんなコンテンツ重視で、アンプの列の前にバンドが突っ立って、ただ演奏しているだけの映像なんて、見たがる人はほとんどいない。いまは大型のビデオスクリーンが使える。違うことに挑戦できる機会がぐっと広がったんだ」