オジー・オズボーン・バンド、
バッドランズ(BADLANDS)、
レッド・ドラゴン・カーテル(Red Dragon Cartel)等での活躍でも知られるギタリスト、
ジェイク・E・リー(Jake E. Lee)。ポッドキャスト『Talk Is Jericho』の新しいインタビューの中で、2024年にラスベガスで銃撃された事件を振り返っています。「撃たれたのは不運だったけど、それ以外は、本当に幸運なことが重なった」と話しています。
「犬を散歩させていたんだ。確か午前2時半か3時頃だったと思う。10月中旬でも、去年は暑かったからね。夜中でもまだ27度くらいあって、午前3時でも暑かったんだ。犬を散歩させるのはいつもその時間帯なんだ。涼しくて静かなことが多いからね。
散歩していたら、隣の家の車道にフードを深くかぶった男が二人がバイクをじろじろ見てるのが見えた。近づくと奴らは俺に気づいて“あっ、やべえ”って顔をした。二人は速足に通りを歩き出したんだけど、俺の家に向かう方向と同じ方角だった。俺はそのまま85ポンドのピットブルを連れて歩き続けた。すると、奴らは何度も後ろを振り返って見てくる。どうやら俺が追いかけてると思い込んだらしい。実際はただ家に帰るだけなのに。ついに奴らが振り返って、懐中電灯を俺の目に向けてきた。“引き返して、とっとと失せろ!”って言うから、俺は“お前らがどっか行けよ。ここは俺の近所だ。お前らの居場所じゃない”って言い返した。そこからしばらく言い合いになった。
奴らがガキだってのは分かった。やせっぽちだし、怖くもなかった。それにこっちは犬も一緒だ。無駄な争いだと思ったから、俺は“おい、俺はこっち行くから、お前らもそっち行けよ。今日はもう終わりにしようぜ”って言ったんだ。奴らは何も言わなかったが、“じゃあな、行くよ”と俺は言い、歩きながら奴らが歩いているか確認するために振り返ると、一人がじっと俺を睨んでた。そいつが“いいから、歩き続けろよ、クソ野郎”って言った。それで腹が立った。マジでキレた。振り返って“小僧”って言ったんだ。
そしたら銃声が聞こえた。それまで銃は見えなかった。もちろん、銃があるって知ってたら違う言い方してたと思う。でも、最初に閃光が見えたんだ。最初に見えたのは閃光だった。それから銃声が聞こえて、弾丸がヒューヒューと飛んでいく音が聞こえた。それで思ったんだ、“あれ?変だな。あっちで弾丸の音がする”って。そしたら下を見たら、俺の犬がすぐそこにいた。“犬を狙ってる”って思った。だからリードを投げつけて“家に帰れ”って叫んだ。犬は喜んで走り去り、俺はそれを目で追った。奴は犬に向かって撃ち続けた。幸い犬は撃たれなかった。撃たれてたら俺もそこで死んでた。
奴が犬を撃てないと気づいた時、俺は前腕に焼けるような痛みを感じた。“やべえ、かすったな”と思った。次に背中に何かが当たったような気がした。“逃げるぞ”と走り出した瞬間、足に弾が当たった。感覚がかかとから入って、親指の付け根手前で抜けた。あれは変な感じだった。まるでバイブレーターを踏んだような感覚だった。どの銃弾も痛くなかったのは興味深い。(前腕の銃弾は)ただ焼けるような感覚だった。背中の弾は押し付けられるような感じで、足の弾は裸足でバイブレーターを踏んだような感覚だった。痛みじゃなくて、ただ変な感じ、そういう感覚だった。
地面に倒れ込んだ時、俺はただ“これは現実か?変だ。非現実的だ”って思った。それから急に痛みが襲ってきた。痛みが増すにつれ、911に電話しなきゃって気づいたんだよ。
撃たれたのは不運だったけど、結果的には、それ以外の全てが幸運だった。前腕の銃弾は貫通したが、静脈にも骨にも当たらなかった。筋肉を通り抜けただけで、引き裂いたりもしなかった。だから治りも早かった。運が良かった。手の甲の感覚が3週間くらいなくて、あれは変な感じだったけど、それも戻った。
背中のやつは脊椎のすぐ近くだった。面白いことに、警官が来たときにシャツをめくられて“足は動かせる?”って聞かれたから“動くよ”って答えた。で、救急隊が来ても“足は動かせる?”って聞かれたので“動くよ”って。救急外来に着いたら医者も“足は動かせる?”って聞かれたので、“ええ、赤ん坊の頃からずっとね。何がそんなに大事なの?なんでみんなそればっかり聞くの?”って感じだった。だって知らなかったんだ。退院してからわかったんだよ。娘が傷の手当てをしてくれた時、“うわ、パパ、マジでヤバい”って言うから、俺は“じゃあ写真撮って見せてよ。何がそんなに騒ぎなのか見たいから”って言ったんだ。で、写真見たら“うわ、まじか”ってなった。脊髄のすぐ近くだったんだ。でも脊髄には届かなかった。肋骨を何本か折って肺に穴はあいたけど、それらは全部治る傷だった。だから運が良かったんだ。
足のやつは踵に突き刺さったんだけど、医者によると、そのまま完全に貫通してたら、おそらく足の指を何本か吹き飛ばしていたらしい。俺はチタンのかかとなんだ。18年くらい前に踵を粉砕骨折したことがあって、チタンを入れてたんだ。だから弾はチタンに当たって跳ね返った。足の指は全部無事だったんだ。
全てが幸運だった。あの夜は、普段は絶対に入れないシャツのポケットに携帯を入れていた。いつもはズボンのポケットに入れてるのに。その夜はなぜかシャツのポケットに入れてた。地面に倒れたときに“あ、動けないな”って気づいたんだけど、“あ、携帯がここにある”と気づいたんだ。だから911に電話できた。つまりね、撃たれたこと以外は、本当に幸運なことが重なったんだよ。
(撃った奴らは)捕まったよ。捜査官の一人と仲良くなってね……彼らは銃撃の2週間後に犯人を捕まえた。彼が言うには、全国的、いや実際は国際的にも数日間ニュースになっていたからだって。市長室とか市議会とか、みんなが“これは本当にまずい。ラスベガスで犬を散歩させてるだけで撃たれるなんて。早く解決しろ。絶対に解決しろ”って感じでさ。だから普段よりも多くのリソースが投入されたんだ。で、連中は捕まった。しかもその銃は過去の2件の殺人事件にも使われていた。奴はすでに2人殺してたんだ。だから、ああ、俺を殺そうとしてたのは間違いないよ。幸いなことに、奴は射撃場であまり練習してなかったみたいだけどね。(そいつは)2件の殺人と殺人未遂で起訴されたんだ」