
Australian Prime Minister's Joy Division Shirt Causes Political Disorder
オーストラリアの議会では先日、首相が
ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)のTシャツを着用したことで大きな政治的論争が起きました。野党党首が首相の服装を「重大な判断ミス」と批判しています。野党党首は、バンド名の由来を問題視しているようです。
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は、10月23日、米国から帰国し、飛行機から降りる際に、政治家として慣例的なスーツとネクタイ姿ではなく、ジョイ・ディヴィジョンの1979年アルバム『Unknown Pleasures』のアートワークをプリントしたTシャツを着用している姿が撮影されました。
5日後の10月28日、議会での演説で、野党の自由党党首スーザン・レイは、このTシャツ着用を批判しました。
英ガーディアン紙によると、レイが問題視したのはカジュアルな服装だけではありませんでした。彼女は首相のファッションの選択を「重大な判断ミス」と呼び、ジョイ・ディヴィジョンは、「ユダヤ人女性が性奴隷として働かされたナチス強制収容所の一角」に由来するバンド名であるため反ユダヤ主義的だと主張しました。
レイは続けて、「ユダヤ系オーストラリア人が反ユダヤ主義の高まりに直面し、家族が安心と団結を求めているこの時に、首相は憎悪と苦しみから派生したイメージを誇示することを選んだ」と続けました。
ガーディアン紙は、レイの強制収容所に関するこの認識は、1953年の小説『House of Dolls』における描写に由来すると指摘。また同紙は、強制収容所でこのような労働を強いられた人々の中にユダヤ人女性がいたかどうかは議論の余地があるとも指摘しています。
アウシュビッツ=ビルケナウ国立博物館の広報担当者は同紙に「私たちの知る限り、ユダヤ人女性が性奴隷にされた強制収容所の『部門』の歴史的記録は存在しません」と述べ、また「私はパンク音楽史の専門家ではありません」と前置きしつつ、収容所における売春宿や性的奉仕が存在したこと自体は認めつつも、そこで労働を強いられた女性の大半は「売春行為でアウシュビッツに収監されたドイツ人の社会不適合者の囚人だった」と強調しています。
オーストラリアでは、この好機を最大限に利用した右派系のスカイニュースを除けば、ほとんどのオーストラリアのユダヤ人団体は、レイが首相のTシャツに反対したことを支持していません。このTシャツは、オーストラリアでも簡単に購入でき、首相は謝罪するつもりはないという。
アルバニージー政権を支える与党・労働党のパトリック・ゴーマン連邦首相補佐大臣は、「彼がファンであるバンドのTシャツだ…。世界には重大な問題が山積している。人気バンドのTシャツがそれに含まれるとは思わない」とABCの番組で述べています。