レディオヘッド(Radiohead)は11月から7年ぶりのツアーを行いますが、なぜ7年間もツアーを行っていなかったのか? フロントマンの
トム・ヨーク(Thom Yorke)とギタリストの
エド・オブライエン(Ed O'Brien)が英タイムズ紙の新しいインタビューの中で、その理由を語っています。
トム・ヨークはこう語っています。
「ちょっとうまくいかなくなってしまったので、止めざるを得なかったんだ。いろいろな要素が重なってね。ライヴ自体はすごく良かったんだけれど、崖から落ちる前に一旦止まろうって感じだったんだ」
トムはまた、2016年末に亡くなった最初の妻レイチェル・オーウェンの死を受け入れるのに苦労していたことも認め、こう続けています。
「いずれにせよ、僕は立ち止まる必要があった。悲しむ時間を自分にきちんと与えていなかったから。(悲しみが)これを取り除かなければならないと思わせるような形で表れていたんだ。
音楽は物事に意味を見出す手段になり得る。それを止める必要があるという考えは――たとえそれが理にかなっていても――自分の調子が悪いからといって、最も落ち込んだ時でさえ、僕にはできない。掴み続けられる何かが必要なんだ。
人生で何度か、音楽に慰めを求めてピアノを弾いたことはある。でも痛むんだ。身体的に。トラウマを経験している間は、音楽は痛みを伴うんだよ」
また、エド・オブライエンは、前回のツアーの終わりには、自身はバンドを“やりきってしまった”と思っていて、メンバーの間の繋がりが失われた感じていたので、再び一緒に演奏することに神経質になっていたと話しています。
「リハーサルに入る前は緊張していた。というのも、僕は事実上、(2018年で)レディオヘッドを、やりきってしまっていたからね。
前回のツアーは良くなかった。ライヴ自体は楽しめたけど、それ以外は嫌だった。互いに繋がりを感じられず、本当に疲れ果てていたんだ。
(レディオヘッドは)僕たちの人生そのものだった。ほかに何がある? 成功ってのは人に奇妙な影響を与える。もうやりたくないと思った。そうメンバーに伝えたよ。
本当に長くて暗い夜を経験した。深い鬱に陥った。2021年にどん底に達した。そこから抜け出す過程で気づいた素晴らしいことの一つは、このバンドの仲間たちをどれだけ大好きかだった。17歳のときに出会った彼らと、もう一度一緒にやる姿を想像できなくなっていた僕が、僕たちには本当に素晴らしい曲がいくつもあるんだ、と気づいたんだよ」