2020年に亡くなった
クラフトワーク(Kraftwerk)の
フローリアン・シュナイダー(Florian Schneider)が1970年代から1980年代にかけてクラフトワークの楽曲を生み出すために使用した電子機器や楽器などがオークションに出品される予定です。英ガーディアン紙が報じています。
シュナイダーのエステート(遺産管理団体)によるオークションで、スーツケースに入っていたシンセサイザー、フルート、ロボットのような声を出すために使用したボコーダーなど、彼の遺品500点近くが出品されるという。
これには、100点以上の金管楽器・木管楽器コレクション、多数のポラロイド写真、サングラス、1978年までのツアーで使用していたパスポート、彼がグレーに塗装し直したVW(フォルクスワーゲン)パネルバンなども含まれます。
さらに、クラフトワークの「Tour de France」のミュージックビデオでシュナイダーが乗り、シングルのアートワークにも描かれている自転車も競売にかけられます。
オークションは、ジュリアンズ・オークションズが米テネシー州ナッシュビルのミュージシャンズ・ホール・オブ・フェイム&ミュージアムで11月19日に開催します。総推定落札額は45万~65万ドル(約6900万円~約1億円)と見込まれています。
クラフトワークが1978年のアルバム『The Man Machine』と1981年の『Computer World』で使用したと思われるボコーダーは3万~5万ドル(約460万円~約760万円)で、1974年のアルバム『Autobahn』で使われたと考えられているEMS Synthi AKSスーツケースシンセサイザーは15,000ドル~2万ドル(約230万円~約300万円)で落札されると予想されています。
ジュリアンズ・オークションズで音楽部門の責任者を務めるジャイルズ・ムーンは、MS Synthi AKSスーツケースシンセサイザーについて、こう話しています。
「とても初期のシンセサイザーで、スーツケースの形をしているため、かなり珍しいものです。フローリアンがクラシック楽器を使うのをやめると決めた1970年代初頭に、彼らが最初に手に入れたシンセサイザーです。彼はこれをフルートに接続し、驚くべき音色を加工するために使用していました」
シュナイダーが1974年までシンセサイザーと共にステージで使用したオルシGアルトフルートは8,000ドルから1万ドル(約120万円~約150万円)で落札されると予想されています。ムーンはこう説明しています。
「1970年にドイツで行われ、広く“最初のテクノ・コンサート”と呼ばれている公演でクラフトワークが演奏している映像があります。フルートからは非常に特徴的な音が鳴り響き、観客の反応は実に印象的です。なぜなら、当時の人々の多くがこの種の音楽を初めて耳にした瞬間だったからです」
低価格帯の出品物の中には、シュナイダーが自身の木管楽器や金管楽器を撮影した約90点のポラロイド写真のコレクションもあります。これの落札予想価格は100ドル~200ドル(約1万5千円~約3万円)で、「ポラロイド1枚あたり1~2ドルという計算です」とムーンは説明しています。
そのほかにも、透明で鮮やかな黄色のアクリル製ギターや、シュナイダーのスタジオの壁に飾られていた「非常にユニークな」全長16インチのハエの模型など、風変わりな品々は200ドル~400ドル(約3万円~約6万円)を予想。シュナイダーの金縁グリーンレンズのサングラスと、それをかけた自身のポラロイド写真は300~500ドル(約4万5千円~約7万6千円)と予想されています。
シュナイダーのエステートの広報担当者は、今回のオークションは、彼の楽器と個人的なコレクションを「自分の死後も生き続けさせたい」というシュナイダー本人の願いを叶えるものだと述べています。こう続けています。
「彼はいつも、楽器は演奏され共有されるべきものであり、使われずに放置されたり、倉庫でほこりをかぶったりするものではないと信じていました。彼は自分の機材が、本当に価値を見出してくれる人たち(ミュージシャン、コレクター、そして音の芸術に触発される人々)の手に渡ることを望んでいました」
以下、オークションに出品されるコレクションの一部
紹介映像
写真
■オークション・ページ
https://www.juliensauctions.com/en/auctions/the-florian-schneider-collection