アル・ディ・メオラ、リー・リトナー、マドンナ、チャカ・カーン、ロバータ・フラック、上原ひろみ、矢野顕子、日野皓正など、様々なジャンルのミュージシャンとレコーディングやライヴを共にした、6弦ベースの巨匠
アンソニー・ジャクソン(Anthony Jackson)が死去。73歳でした。
アンソニーの訃報は、彼が長年関わってきたフォデラ・ギターズがSNSで発表しました。
以下、フォデラ・ギターズの声明より
「アンソニー・ジャクソンの訃報を知り、私たちは深い悲しみに包まれています。彼は、私たちの楽器の歴史において最も先見性があり、影響力のあるベーシストの一人でした。アンソニーの影響力は、彼が奏でた音符だけにとどまりませんでした。
彼は6弦の“コントラバス・ギター”というコンセプトの先駆者となり、アート、ジャズ、ファンクなど、あらゆる分野におけるエレクトリック・ベースの役割に革命をもたらしました。
1984年、私たちは彼のビジョンを体現したプロトタイプとシグネチャーモデルを製作することから協力を始めました。
安らかに眠ってください、アンソニー。あなたの功績によって、ベースの世界は永遠に豊かになりました」
また、長年の共演者であるアル・デ・メオラもアンソニーの訃報を受けて、追悼の声明を発表しています。
以下、アル・デ・メオラの声明より
「親愛なる友人であり伝説的なベーシストであったアンソニー・ジャクソンが亡くなったことを知り、深い悲しみに包まれています。
アンソニーは私がこれまで一緒に仕事する栄誉にあずかった中でも最も卓越した音楽家の一人でした。6弦コントラバスにおける天才的な革新者であり、現代音楽を再構築した真の先駆者でした。彼の音色、正確さ、そして魂は比類のないものでした。
“Land of the Midnight Sun”や“Elegant Gypsy”から、ステージ上の数え切れないほどの忘れられない瞬間まで、彼は聴いた人全員を感動させる力と繊細さを兼ね備えていました。
この数年間、アンソニーに愛と献身を捧げてくださったダネット・アルベッタに心より感謝いたします。あなたの献身は大きな支えとなりました。
安らかに眠ってください、兄弟。あなたの音楽は永遠に響き続けます」
アンソニー・ジャクソンはニューヨーク出身。
30年以上の活動経歴を持ち、多くのアーチストたちが真っ先に彼らの名前を挙げる、いわゆる“ファースト・コール・ミュージシャン”としてセッション・ミュージシャンやライヴ・アーティストとして大成功を収めた。
また、アンソニーは6弦ベースの熱烈な提唱者であり、70年代半ばにメーカーにカスタム製作を依頼したのを皮切りにレコーディングやツアーでそれらを駆使した。彼はかつて、こう言った。
「なぜ標準が6本ではなく4本なんだ? ギターファミリーの中で最も低音域の楽器なのだから、本来なら最初から6本弦であるべきだった。
4本だった唯一の理由は、レオ・フェンダーがアップライト・ベース(コントラバス)を念頭に置いていたからで、彼のトレーニング背景からギター仕様に沿って製作したからなんだ。
ベースギターの論理的設計には6弦が不可欠なんだよ」
アンソニーは脳卒中とパーキンソン病による療養のため2017年を最後にミュージシャンとしての活動を休止していた。