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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「ジョニー・B.グッド」演奏シーン 弾いたギターはなぜ見つからないのかマイケル・J・フォックスが持論語る

2025/10/16 12:30掲載
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Back to the Future | Marty McFly Plays
Back to the Future | Marty McFly Plays "Johnny B. Goode" and "Earth Angel" © 1985 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公マーティが「ジョニー・B.グッド」を演奏する有名なシーン。マーティ役のマイケル・J・フォックスが弾いているギター(ギブソンES-345)は、実は40年もの間、どこにあるのか分かっていません。ギブソンは2025年6月より、この象徴的なギターの捜索プロジェクト『Lost to the Future』を始動させており、世界中からこのギターの所在に関する情報を求めています。

フォックスは新しい回顧録『Future Boy: Back to the Future and My Journey Through the Space-Time Continuum』の中で、なぜギターは見つからないのか自身の考えを語っています。またこの演奏シーンについても振り返っています。抜粋がUSウィークリーのサイトで公開されています。

ギブソンは9月下旬の段階で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のギターが見つかったことを正式に報告しています。しかし、このプロジェクトが探しているのはシリーズ第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で使用されたギターで、それはまだ見つかっていません。

フォックスはこう書いています。

「映画の公開から何十年も経つうちに“ジョニー・B.グッド”で使用されたギターは、その存在そのものよりも、存在しないものとしての重要性を増している。存在しないものは、もう手に入らないからだ。

自分が持っていると言えたらいいんだけど、これほど価値のあるものになるとは予見できなかった。しかし、誰かはその価値を見抜いていた。現役のコレクションに入っているのか、屋根裏や自宅のスタジオにしまい込まれているのかはわからないけど、いずれにせよ当人は口をつぐんだままだ。もしかすると、ヴィンテージギターの盗難が時効になるのを待っているのかもしれない」

フォックスは「コレクターズギターは法外な価格がついている」と説明し、彼が弾いたギブソンES-345も「とてつもない」とも書いています。

またギブソンが所在不明のギターの「捜索に乗り出した」とも書き、こう続けています。

「ついには、僕の有名な赤いロックンロール・マシンを探す旅を記録したドキュメンタリー映画に関わるまでなった。まだ見つかっていない。ドキュメンタリーの最終的な公開は、実在の確認と回収に結びついている。今後も進展があればお知らせします」

フォックスは演奏シーンについて、こう振り返っています。

「言うまでもないけど、あの映画の中で一番好きなシーンだよ。夢が実現する瞬間を象徴している。マーティが自分のためにしたことと同じことを、僕も自分のためにやっているんだ。あの瞬間、僕の人生で起きていたことは、マーティに起きていたことと同じくらい大きな変化をもたらしたものだった」

劇中でマーティが「人生最高のパフォーマンスをしている」ように、ある意味、フォックス自身もそうだったという。「彼は文字どおりギターで世界を救うんだ」と続け、回顧録の別の箇所では、このシーンに関して「映画の中で最も力を注いだ」と書いています。

さらにこう続けています。

「映画制作者たちにとってのジレンマは“ジョニー・B.グッド”のシーンが本質的に不要だということ。マーティの演奏は物語を進展させないばかりか、むしろ物語を中断させているとも言える」

と彼は書き、このシーンが「純粋な喜びのためだけ」に存在することを明かした後、読者にもう一度映画を見直し、その瞬間を「笑顔にならずに」観ることができるか挑戦してみてほしいと促しました。

「このシーンはタイムトラベルのジョークを加え、1950年代のティーンエイジャーたちを、彼らの子供がいつか夢中になる音楽で驚かせる。さらに、直前のシーンで高まった緊張を解きほぐす役割も果たしている。緊張は解けた。さあ、楽しもう」

また、この演奏シーンの撮影は、スタッフ、特にロバート・ゼメキス監督にも楽しみをもたらしたという。

「数カ月後、彼はこのシーンに費やした日々が映画で一番楽しかったと僕に打ち明けてくれた。ミッション完了。彼が喜んでくれてうれしかった(いや、彼が満足してくれたことに感激した)」

マーティが弾いたギターのギブソンES-345は映画の舞台である1955年当時はまだ発売されていなかったというのは有名な話です(開発は1958年、販売は59年から)。以前にギターを提供したノーマン・ハリスが、このギターに決まるまでの舞台裏について話していました。詳しくはこちら