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ブラック・サバスのレガシーの「見過ごされてきたが極めて重要な側面」はメタルにおける環境保護運動への影響 「エコメタル」を研究者語る

2025/10/15 13:39掲載
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Black Sabbath
Black Sabbath
ブラック・サバス(Black Sabbath)が残したレガシーには「見過ごされてきたが極めて重要な側面」があるという。それはメタル音楽における環境保護運動への影響だと、バーミンガム大学の准教授デイヴィッド・ギャンジは述べ、影響を受けた環境保護主義のバンドたちを「エコメタル」と呼んでいます。

准教授によると、サバスの反体制的な姿勢、一部メンバーのビーガニズム(※食料、衣料、その他の目的において、動物の搾取や残虐行為を可能な限り避けることを目指す哲学と生き方)への取り組み、そして「先見的な環境保護主義者のアンセム」である「Into the Void」は、世代を超えて人々に影響を与えてきたという。

准教授はバーミンガム市で開かれるイベント『Forging Metal: Black Sabbath and Birmingham』で「エコメタル」シーンに関する研究成果を発表する予定です。

准教授は英BBCの取材に応じ、「エコメタル」シーンのバンドについて紹介しています。

フィンランド北部の田舎町出身のデスメタル・バンド、Unearthly Ritesは、北極圏の景観を破壊していると主張する露天掘り採掘に反対する運動を展開しています。

准教授によると「彼らの楽曲は徹底した環境保護主義で、採掘による破壊に立ち向かうよう地域社会を鼓舞するもの」だという。

Unearthly Ritesは、インスピレーションの源としてブラック・サバス、ナパーム・デス、そしてデスメタルバンドのボルト・スローワーを挙げています。「これらのバンドがクラシックとされるのには理由がある。彼らはメタルが社会的・生態学的意識の代弁者となる道を開いた。(3バンドとも)体制批判だけでなく、反戦や環境問題への懸念も体現している」

准教授の説明によると、同様のバンドは世界中に何千と存在し、「気候崩壊の最前線」に立ち、音楽を通じてこの問題を浮き彫りにしているという。

「そして注目すべきは、バーミンガムが彼らの世界の中心地だということです。

ブライトンのArchitectsやフランスのGojiraのように、長年にわたって環境保護活動に関わってきた有名なバンドはこれまでもいました。しかし数年前まで、これほど広範なエコメタル・シーンが存在するとは全く知りませんでした」

准教授は、小型船に関する最新の著作の調査で北極圏や北大西洋沿岸を訪れた際も、同様のミュージシャンを何百人も見つけたと言い、グリーンランド北西部の伝統的なカヤック工房で、2人の先住民イヌイットの労働者がメタルを演奏しているのにも出くわしたという。また他の注目すべき環境主義的なバンドとして、チリのマプチェ族のバンド、Mawizaを挙げています。彼らの音楽は河川や木々を守る必要性について歌っていると述べ、こう続けています。

「Wolves in the Throne RoomやAgallochからYellow Eyesまで、アメリカのブラックメタルバンドは森や山、水路を探求しています。例えば、Yellow Eyesのアルバム『Sick With Bloom』に収録されているすべての曲は、それぞれ異なる汚染された水路をテーマにしています」

これらのバンドがメタルの歴史を読み解く方法は、多くの人々のそれとは異なると准教授は述べています。

「サバスは、ジューダス・プリーストのような同時代のバンドと並べられるのではなく、環境保護活動や動物愛護活動を新たな次元へ押し上げた、次世代のバーミンガム出身者、ナパーム・デスと結びつけられています。

特筆すべきは、いまメタルの境界を押し広げている人々が、再発見によってそれを実現しているということなのです。

メタルの原点を否定するのではなく、自分たちが必要としているアイデアやサウンドは、最初からブラック・サバスの中にずっと存在していたことに気づいたのです。それはこれまで世界が受け入れられる準備ができていなかった、サバスの別の姿だったのです」