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ラッシュのアレックス・ライフソン 最近は「毎日3時間くらい弾いている」&「La Villa Strangiato」ほかワンテイク録音ついても回想

2025/10/10 14:30掲載
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Alex Lifeson, courtesy of Epiphone
Alex Lifeson, courtesy of Epiphone
活動再開を発表したラッシュ(Rush)。ギタリストのアレックス・ライフソン(Alex Lifeson)は最近は「毎日、3時間くらい弾いている」という。米Guitar Playerの新しいインタビューの中で、そう話しているライフソンは、約9分半のラッシュの大曲「La Villa Strangiato」を含めてワンテイク録音ついても振り返っています。

「この楽器を持ち、その使い方を理解し、弾くたびに常に探求し続けられるなんて、本当に恵まれているよね。

僕は毎日、3時間くらい弾いている。スケールは弾かない。リフの練習もしない。ただ弾くだけ。その瞬間に脳裏に浮かんだことを、その瞬間にやっている。この年齢になっても、その能力と、続けたいという情熱と欲求を持ち続けられることを、本当に幸運だと感じているよ。

こいつらがあまり腫れさえしなければね(と微笑みながら指を指し)大丈夫なはずだよ。」

ライフソンは同じインタビューの中で、1978年アルバム『Hemispheres(邦題:神々の戦い)』に収録されている、ラッシュにとって初の完全インストゥルメンタル作品「La Villa Strangiato」について振り返っています。バンドは当初ワンテイクで録音するつもりでした。

「僕たちは、たくさんの小さなパートを組み合わせて構成された大作を書きたかった。録音はウェールズのモンマスにあるロックフィールド・スタジオで行った。レコーディングの1カ月前からスタジオのすぐ近くに農家を借りていて、毎日毎晩そこにこもって『Hemispheres』を仕上げるための作業をしていたんだ。

時間と意欲が十分にあったので、小さな断片を練り上げては、どんどん繋ぎ合わせていって、次第に全体像が形作られていったんだ。ほぼワンテイクで全てを録音できたのは、とてもクールだったよ。

二度目の録音を試みたんだけど、長い曲だった上にテープが足りなくて、結局、最初のテイクの上からそのまま上書きしたんだ。ソロの部分をすごく注意深く聴くと、下からオリジナルのソロが透けて聞こえるんだよ。残響のようなゴースト音が混じってて、ちょっとクールなんだ」

この多部構成の楽曲は、ライフソンが見た夢にインスピレーションを得ており、各パートの音楽は彼の夢の中で起こった出来事に対応しています。

1978年に英国の音楽週刊誌『Sounds』の取材に応じたニール・パートは、ライフソンが「とびきり奇妙で質の悪い悪夢をしょっちゅう見ている。とくにツアーで遠征中だとね。夜中に電話でゲディーか僕を起こして、見た恐ろしい夢の話を延々と語り始める。半分寝ぼけた状態で聞く彼の夢の話は、本当に度肝を抜かれることもあるよ」とコメントしていました。

ライフソンは、パートのこの発言が読み上げられると笑い、こう話しています。

「僕の夢はとても鮮明なんだ。昔はいつもバンド仲間に夢の話をしていた。みんなは結局、笑い転げたり、信じられないって首を振ったりした。

夢は音楽を駆り立てるためのアイデアみたいなものになって、主に曲のタイトルに使った。例えば“The Waltz of the Shreves”とか、“La Villa Strangiato”の曲群に付けた様々な名前とかね」

「La Villa Strangiato」は、長い曲をワンテイクで録音する最初の試みではありませんでした。彼らはその1年前、1977年のアルバム『A Farewell to Kings』のレコーディング・セッションの際にも同じことをやっていました。ライフソンは、こう振り返っています。

「アルバムの最初の曲“Xanadu”を録っていたときだった。エンジニアが機材をセッティングしている間、僕たちは自分たちが望むサウンドが得られるまでいろいろと試した。

曲を録る時間になり、最初から最後まですべてのパートをワンテイクで演奏した。そのテイクがそのままアルバムに入っているよ。

エンジニアは完全に度肝を抜かれてた。信じられないって顔で“スタジオに入って、11分もの曲をワンテイクで録るなんて、どうやったんだ? しかも完璧じゃないか。いったいどうやったんだ?”って。正直に言えば、僕たちはかなり前からリハーサルを重ねていた。その前のツアーの終盤に、ほんの数公演だけど演奏したし、とにかくリハーサルを重ねて、スタジオに入る頃には万全の準備ができていたんだ。

だから、曲全体をワンテイクで録音するのは、それほど無理な話じゃなかった。全てがね。ソロも、全部のパートも、俺とゲディーがダブルネックを弾く部分もね」