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リンダ・ロンシュタット 『Prisoner in Disguise』50周年を祝した手紙を寄稿

2025/10/09 19:27掲載
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Linda Ronstadt / Prisoner in Disguise
Linda Ronstadt / Prisoner in Disguise
リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)がアルバム『Prisoner in Disguise(邦題:哀しみのプリズナー)』を1975年にリリースから50年。ロンシュタットは50周年を祝した手紙を米ビルボード誌に寄稿しています。同作はMobile Fidelity Sound Labから、オリジナルのアナログ・マスターテープからマスタリングされた180グラム重量盤/45回転の2枚組LPレコードが発売されます。

以下、手紙より。

「私の6枚目のソロアルバム『Prisoner in Disguise』がリリースされてから、もう50年経ったなんて、とても信じられません。この半世紀を振り返ると、記憶に鮮明に残っていることがいくつかあります。

友人のニール・ヤングからデモが届いた時は本当にうれしくて、なかでも“Love is a Rose”にすぐ心を奪われました。この曲はアルバムのオープニングトラックになりました。他にも、ジェイムス・テイラー、ドリー・パートン、ジミー・クリフ、ローウェル・ジョージ、アンナ・マクギャリグル、そしてモータウンのトリオ、ホーランド=ドジャー=ホーランドなど、偉大なソングライターたちが素晴らしい曲を提供してくれて、歌うのが待ちきれませんでした。親友のエミルー・ハリスも参加してくれて、カントリーの名曲“The Sweetest Gift”でデュエットしました。

“Tracks of My Tears”を初めて聴いた時、スモーキー・ロビンソンの素晴らしい歌声に心を奪われました。私はソプラノですが、スモーキーは美しくてソプラノのような声を持ち、私のキーで歌っているので、ラジオで彼に合わせて簡単に一緒に歌えました。これがきっかけで、私はその曲を録音したいと思うようになりました。その4年前、ドン・ヘンリーとグレン・フライが初めて私のバンドに参加したとき、私たちはディズニーランドで、ステイプル・シンガーズやスモーキー&ザ・ミラクルズと同じ日に出演しました。公演の合間には、時間をつぶすために皆で楽屋でポーカーをしましたが、私は積極的なカード・プレイヤーだったグレンに、スモーキーに勝たないようにと釘を刺しました。というのも、私はスモーキーに恋をしており、もし私のギタリストが彼からお金を取りすぎたら、私のことを嫌いになるんじゃないかと心配だったからです。

アルバムのタイトル曲を録音したときのことも覚えています。J.D.サウザーが書いた美しいバラードで、私は最初のヴァース(Aメロ)をJDのアコースティック・ギターだけで歌い、その後にアンドリュー・ゴールドのピアノが加わり、最後にデヴィッド・キャンベルによる見事なストリングスとと木管楽器のアレンジが加わりました。今聴き返すと、何よりもJDの唯一無二のハーモニー・ヴォーカルに感銘を受けます。彼は物語に切なさや皮肉を添える、ちょうどいい音を見つけ出すことに、驚くべき才能を持っていました。

それから、アルフレッド・ベアという特別な友人のことも思い出します。それは、ピーター・アッシャーが、このプロジェクトのレコーディング中に、私のためにヴォーカルブースに設置してくれた、3フィート(約1メートル)のテディベアに私が付けた名前です。当時、私は何かにひどく落ち込んでいて――多分、男の人に関することで――アルフレッドはサポートアニマルと呼べる存在でした。確かに、彼は私にとって大きな慰めでした。残念ながら、彼の名前はオリジナルのクレジットには載りませんでしたが、この機会に今ここで訂正しておきたいと思います。ありがとう、アルフレッド。

最後に、このアルバムのレコーディングを支えてくれた素晴らしい方々すべてに、心からの感謝をお伝えしたいです。聴いてくださった皆さまにも特に感謝申し上げます」