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ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア 50周年を迎えた『Wish You Were Here』の制作について改めて語る

2025/10/08 17:58掲載
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Pink Floyd / Wish You Were Here
Pink Floyd / Wish You Were Here
ピンク・フロイド(Pink Floyd)デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)は米ラジオ局NPRの新しいインタビューの中で、発売50周年を迎えたフロイドのアルバム『Wish You Were Here(邦題:炎~あなたがここにいてほしい)』の制作について改めて振り返っています。

「(アビー・ロード・スタジオのスタジオ3の)コントロール・ルームに座って、新しく買った12弦ギターで“Wish You Were Here”の冒頭部分を弾き始めた時のことを覚えている。みんなが“おや、これは何か掴めそうだぞ”と思ったときに発する、小さな合図やサインのようなものを観察していた。そういう反応はいつだって良い兆しなんだ。

僕らはアビー・ロードの正面玄関前の駐車場に停めた僕の車に(オープニングのラジオ・ダイヤル操作音の録音するために)マイクを持って行って、車の中で、マイクで録音しながら、ラジオをつけたんだ。昔はね、チャンネルを変えるのにボタンを押すんじゃなくて、実際にダイヤルを回してチャンネルを変えたんだ。だから、時計回りに回したり反時計回りに回したりすると、奇妙で狂ったような音に遭遇する。あれは、僕が車に座っている間にその場で起きた生の瞬間なんだ。あのラジオの雑音の全てがそうなんだよ。

僕らはとても奇妙な状況にいた。いわゆる“難しいセカンド・アルバム”という概念が頭に浮かぶ。正確には二作目ではなかったが、あの衝撃的な、夢をすべて叶えてしまったようなアルバム――そう、『The Dark Side of the Moon』のあとに作る二枚目だった。

スタジオには大きな倦怠感があって、どうにかして再び真剣に仕事に取りかかろうと自分たちを奮い立たせようと、座り込んでいる時間が多かった。かなりの時間がかかった。アルバムとあの曲のタイトルが意味していることの一部は、そういうことなんだ――ロジャー(ウォーターズ)の見解では、僕らの何人かは大半の時間、本当にそこにいなかった。

僕たちが何をしようとしているのか、どうやって、なぜやろうとしているのか、そういう問題については、さまざまな考えがあった。あの時点では、もう全てをやり尽くしたと思えるし、何のためにやっているのか分からなくなった。もっと名声を得るためか? すでに十分な成功を収めているのに、さらに金を欲しがっているのか? 10代の頃に初めて本格的なバンドを組んだ時に夢見ていたすべてのことが、あのアルバムで実現してしまった。だから考えざるを得なかった。“僕は本当に音楽が愛しているのか? それとも本当に愛しているのは名声なの? お金が目当てなのか? あるいはそれに付随する他の利益なのか?”ってね。結局、僕は、何よりも音楽そのもののためにやっているんだという結論に至ったんだよ」