名ドラマー、
サイモン・フィリップス(Simon Phillips)の「自身が参加したお気に入りのレコーディングパフォーマンス」は、
ザ・フー(The Who)の
ピート・タウンゼント(Pete Townshend)が
ピンク・フロイド(Pink Floyd)の
デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)と共演した「Give Blood」だという。MusicRadarの新しいインタビューの中で、この曲について語っています。
「Give Blood」はタウンゼントの1985年のソロアルバム『White City:A Novel』に収録されています。
「自分でも本当に誇りに思っている演奏のひとつで、しかも“かなり良いドラム・トラック”と評価もされているのが、ピート・タウンゼントの“Give Blood”なんだ。面白いのは、このセッション自体は実は問題だらけだったんだよ。
セッションの1週間前に現場に行っちゃってさ。スケジュールを組んだ人たちが、僕が本来行くべき週の1週間前に僕のスケジュールを入れちゃってたんだよ。
それにギタリストが誰なのかも知らなかった。イギリス人って、自己紹介があまり得意じゃないからね。彼はすごく短髪だっから、僕は彼がピートの友達のセッションマンなんだろうって思ってたんだよ。後で知ったんだけど、その見知らぬギタリストはデヴィッド・ギルモアだったんだ!
僕が到着する前に、ドラムのローディーがドラムケース一式を届けたんだけど、(プロデューサーの)クリス・トーマスが“なんでサイモンのドラムが届いてるんだ? 彼は来週来るはずだろう”って言ったんだよ。ピートは“ああ、しまった! 日付を間違えて伝えたかもしれない”と言っていた。
セッションのとき、クリスから全部を別々に演奏してほしいって言われた。僕は“は? 別々ってどういう意味?”ってなってね。音のためにそうしたいって言うから、実はちょっと言い争いになったんだ。この一連の出来事は(今となっては)本当に笑える話だよ」
タウンゼントは以前にピノ・パラディーノが「Give Blood」のセッションに参加していたと回想していましたが、フィリップスはパラディーノはその場にいなかったと語っています。
「ベーシストはいなかった。ピートが誰もブッキングしていなかったからね」
代わりに、タウンゼンドは元フリーのジョン・"ラビット"・バンドリックを呼んだという。また、タウンゼンドは以前にこの曲では自身は演奏していないと回想していましたが、フィリップスはタウンゼント自身もこの曲で演奏していたと考えています。
「ラビットは立ち寄ってキーボードを少し弾いてくれた。だから編成は、アコースティック・ギターのピート、エレクトリック・ギターのデイヴ、コードを弾くラビット、そしてドラムの僕、という感じ。で、そこから自然にまとまっていったんだよ。
ちょうどその頃、ハービー・ハンコックの“Rockit”がリリースされた。なぜかあの曲が大好きでね。プログラミングされたドラムとかはあまり好きじゃないんだけど、あれは本当に気に入った。実はドラムフィルのひとつを拝借したんだ。自分でも変だと思うけど、あのトラックにすごく合ってたんだ。そういうこともあるんだよ。
それに、なぜか右手用にライド・シンバルをセットしていた。そんなこと、長い間やってなかったのにね(フィリップスは通常、左側にライド・シンバルを1枚使う)。だからライドが2枚あったんだ。
(“Give Blood”の録音自体は驚くほどスムーズで超スピーディーだったという)
2、3テイクやっただけで完成した、記念碑的なものだし、最高傑作の一つだよ」