トッド・ラングレン(Todd Rundgren)は英Classic Rockの新しいインタビューの中で、ロックとフルアルバムの衰退について語っています。「ロックが75年間も続いたのは、むしろ驚くべきことなんだよ」「40分も時間を割いてアルバム一枚を聴き通す人なんて、もういないんだ」
Q:インターネットの台頭を含め、これまで多くのことを予測してきた人物として、ロックの長期的な未来についてどう考えていますか? そもそも未来はあるのでしょうか?
「いまだにその言葉が使われていることに驚いている。ロックはサブジャンルに成り下がってしまった。世界で最も稼いでいるアーティストであるテイラー・スウィフトのやっていることを、ロックだと言うことはできない。この衰退の多くは、市場の変化に関係している。かつてロックの主要なターゲットだった男性は、今はそのお金をビデオゲームに使うようになり、音楽の最大のオーディエンスは今は女性だ。優れた女性ロッカーもいるが、ジョーン・ジェットが音楽シーンを支配しているわけではない。今はレディー・ガガやテイラー・スウィフトの時代だ。女性アーティストたちがアリーナやスタジアムを満員にしている。
(インタビュアー:ブラック・サバスのような存在が消えつつあるのも拍車をかけていますね)
それも今起きていることの大きな要因だ。あの時代、男性ミュージシャンが至るところにいた。今では、そういう人たちを見つけるのはむしろ難しくなっている。(彼らがやっていたことは)今やほとんどニッチなものになってしまった。音楽というものは、常に入れ替わっていくものだ。ロックが75年間も続いたのは、むしろ驚くべきことなんだよ」
Q:前作のアルバム『Space Force』を出してから、もうほぼ3年になります。いまでもフルアルバムという概念を信じていますか?
「信じているよ。問題はリスナーのほうがもう信じていないことだね(笑)。40分も時間を割いてアルバム一枚を聴き通す人なんて、もういないんだ。でも構わない。これからも作り続けるよ。このツアーが終わったら、すぐに新しいアルバムに取りかかる」
Q:昨年の米国大統領選挙を受けて、あなたは私たちに、可能な限り最良の自分であろうと促し、また憎しみに憎しみで対抗するのは控えるべきだと訴えています。
「(熱心にうなずきながら)そう、でもそれはとても難しいことだよ。今は暗い時代で、多くの悪意ある人々が高い地位を占めている。それは多くの暗い考えを生み出す。“どう乗り越えるべきなのか?”と問われれば、唯一の道は、お互いに頼り合い、善意を持っていると信じること。僕は(今の状況を)“誤り”だと捉えようとしている。指導者になった人たちが、道徳的な面で僕たちを代表しているとは考えたくない。物語の主導権を失っているとしても、僕たちが信じることのために立ち上がろう」