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ラッシュ ツアー復帰の理由を語る

2025/10/07 10:26掲載(Last Update:2025/10/07 11:09)
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RUSH, photo by Richard Sibbald
RUSH, photo by Richard Sibbald
ラッシュ(Rush)は11年ぶりのツアーを2026年6月に北米で開催することを発表しました。ツアー復帰の理由を、アレックス・ライフソン(Alex Lifeson)ゲディー・リー(Geddy Lee)がロックの殿堂ミュージアムで行われた新しいインタビューの中で語っています。

新ドラマーにはドイツ人の女性ドラマー、アニカ・ニールス(アニカ・ニルス/Anika Nilles)を迎えています。ニールスを選んだ経緯についてはこちら

活動再開の声明についてはこちら

アレックス・ライフソン:
「(2015年に)『R40』ツアーを終えたとき、ニール(パート)にはすごく負担が大きくて、あの時点で彼はもう十分だという感じだった。ゲディーと僕にはまだ燃料が残っていて、まだ続けたい気持ちがあった。でも、それはそれであって、そこから時間が経てば経つほどに、“これでいいんだ。俺たちは40年やった。ホテルに泊まって家族と離れて過ごすのにも、もう疲れた”って思うようになったし、実際この10年の大半はずっとそんな気持ちだった。素晴らしいレガシーを残せたと思っていたし、それでいいじゃないかと。

ところがこの男(ゲディを指して)が現れて、大きなアイデアを持ってきた。僕たちは話し合い、弾き始めてみたら、自分がどれだけこれを愛しているか、演奏すること自体をどれだけ好きなのかに気づいたんだ。ここ数年、他のプロジェクトも続けてきたし、今でもたくさん演奏しているけど、2人で座ってラッシュの曲をいくつか弾き始めたときに、これらの曲を演奏するのがどれだけ難しいかを痛感した……。40年間、毎日やっていれば大したことじゃない。慣れているからね。でも離れてみて、この音楽の尋常じゃない複雑さや、フィーリング、ニュアンス、そしてラッシュの曲とパフォーマンスを構成するあらゆる要素を少し客観的に見られるようになった。それに再び挑戦することは本当に、本当にエキサイティングだった。リハーサルを重ねて弾けば弾くほど、また演奏したいという気持ちがどんどん強くなっていったんだ」

ゲディー・リー:
「いろんな意味で本当に難しい決断だった。それに伴う負担の大きさはもちろん、実際に起こった出来事の重みの面でもね。ニールのようなメンバーを失ったことは本当にショックで、とても悲しい時期だった。それ(ライヴ再開)を考える気持ちになるまでに時間がかかった。つまり、これは比較的、最近の決断なんだ。そうした状況だったので、長い間、ほとんど選択肢にすら入っていなかったと言っていい。どうやってかけがえのない人の代わりをするのか? だから僕らは時々冗談めかして話すくらいで、アル(アレックス・ライフソン)は別のことをやっていたし、僕は本を書いていた。

でも、この数年で何かが起きて、またスタジオでジャムするようになった。彼がうちに来て、僕のコーヒーを飲んで、ぶらぶらして、2人でジャムって笑い合ってね。で、ある日、理由は分からないけど、試しにラッシュの曲を遊び半分で弾き始めたんだ。もう、涙が出るほど笑って、心から楽しんだ。まるであの曲を演奏することで暗い雲が晴れていくみたいだった。

たぶんこれが始まったのは、2022年にテイラー・ホーキンスのトリビュート・コンサートで演奏したときだと思う。初めて別のドラマーと一緒にステージに出て、自分たちの曲を演奏した時、“ああ、そうだ、これは僕らが汗水を流して作り上げた曲で、僕らの一部そのものなんだ。僕らの一部でなくなることなんて絶対にないんだ”って感じたんだ。

だからまたジャムをし始めたとき、それが確信に変わったんだ。もちろん、アルはこれまで多くの健康問題を抱えてきた。このことは以前から公に語られているけど、彼の体調が十分じゃなかったから、長い間、ツアーに踏み切ることはできなかった。今の彼はかなり健康だよ。今回、僕がやりたいと思えたのは、何より彼の熱意だった。そこで真剣に話し合いを始めた。何人かの友人たち――その一人がクリフ・バーンスタイン(業界マネージャーでQ Prime Artist Managementの共同オーナー)――に電話して、最近のツアーはどんな感じなのか、実情を聞いてみたんだ。

難しい決断だった。簡単な決断ではなかったし、こうして人前で話するのも実は今回が初めてなんだ。うん、でも今はこれでいいと思っているとし、やるつもりだよ。

僕らの考えは、RUSH 2.0になろうとすることではなく、ただ自分たちの音楽に敬意を払い、失った兄弟に敬意を払い、楽曲をきちんと表現して、その曲たちを祝うことなんだ。

若い頃みたいに3時間のライヴをやるのは無理だと思うけど、2時間は確実に超えるつもりだよ。曲もたくさんやるから、そこは心配しないで。

(ニールの妻)キャリー・ナットールと(娘の)オリビア・パートにも感謝を伝えたい。2人はずっと支えてくれて、このツアーにも協力してくれている。本当に感謝しているし、それが全てをより良くしている。

公演中に少なくとも数回は、僕らなりのやり方でニールへのトリビュートを行う予定だよ。毎晩、彼に敬意を表するつもりなんだ。

ニールが亡くなった後、新型コロナウイルスが発生したため、追悼コンサートを含め、彼へのトリビュートを全く行うことができなかった。だからこそ今回のツアーは、僕らの仲間でありパートナーだった彼の音楽や歌詞、そして驚異的なドラミングに敬意を払う一つの方法なんだ。同時に、長年にわたって(ファンが)支えてくれた音楽を祝う場でもある。僕らは(ファンに)喜んでもらえるよう最善を尽くすつもりだよ」