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オジー・オズボーンを50年近く撮影した著名なロック写真家ロス・ハルフィン、オジーと過ごした時間を回想

2025/10/02 17:54掲載
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Ozzy in White Sands, New Mexico (Image credit: Ross Halfin)
Ozzy in White Sands, New Mexico (Image credit: Ross Halfin)
オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)を50年近く撮影した、著名なロック写真家ロス・ハルフィンは、英Classic Rockの最近のインタビューの中で、オジーと過ごした時間を振り返っています。

「オジーと知り合ったのは1980年の『Blizzard Of Ozz』のツアーの時。Sounds誌の取材で出会い、かなり長い間一緒に過ごした。彼はとてつもなく面白かった。その後アメリカにもオジーと一緒に行き、そこで彼のユーモアのセンスを本当に理解し始めたんだ。

長い黒髪の女性が近づいてきた。黒いドレスに黒いメイクだ。彼女は“ハロー、オジー”と言った。彼は彼女を見て、次に俺を見て、こう言ったんだよ。“マジかよ、あの女、ほうきどこに停めたんだ?”。オジーはいつだって最高のワンライナー(ちょっとしたジョーク)を持っていたよ。

オジーには、ちょっとおバカなイメージがあるけれど、それはまったくの誤解。彼は本当はそうではなかった。とても頭が切れる人だと思う。彼があのイメージを意図的に維持していたのは、人を遠ざけるためだと思う。人に煩わされるのが嫌だっただけなんだ。

例えば、昨年、ロサンゼルスにある彼の家で、サバス初のアメリカツアー(1970年)について話したとき、50年以上前のことなのに彼はすべてを覚えていた――サポートバンドが誰だったか、彼らの妻の名前、彼らに何が起きたか……全部だよ。そうしたことに関する彼の知識がほとんど百科事典並みだと知って、俺は驚いた。信じてほしい。『オズボーンズ』ではそのイメージを喜んで演じていたが、オジーは決して、おバカではない。本当に、彼は愚かな人ではなかったんだ。

全体的に見れば、彼は幸せな男だったと思う。彼と多くの時間を過ごしたから、そう確信している。ただ彼はいつもごねる。それがオジーのスタイルだったんだ。

こんな感じだ。

彼と写真撮影に行くと、まずは彼をほぐす必要がある。しばらく冗談を言い合って、彼もジョークやエピソードをいくつか話す――ほとんどは口に出せないようなやつ――そしてみんなで大笑いする。このプロセスが大事だった。準備なしにいきなりオジーの写真を撮ろうとすると、ひどいものになってしまうんだよ。

数年前、ジューダス・プリーストがサバスのスペシャルゲストを務めたとき、オジーとロブ・ハルフォードのツーショットを撮りたいと伝えた。彼は断固として拒否した。“やらない”と。ところがロブが現れると、オジーは“よし、どこで撮るんだ?”と言い出した。頑なに拒んだことに罪悪感を覚えたんだろうね。アイライナーを引いて、髪を整えると、すぐに撮影が始まった。これがオジーというものだ。

いま思い出した、俺の大好きなオジー話のひとつがある。息子ジャックのテレビ番組のために、ニューメキシコ州ホワイトサンズの砂漠に行ったときのことだ。砂丘の真ん中でオジーを撮りたいと思ったんだ。地球上で最も美しい場所の一つだからね。でも、彼は疲れていて、スケジュールも大幅に遅れていた。オジーがRVで到着したのは午後7時近く、ちょうど日が落ち始めたころだった。

俺が考えていたショットについて彼に話すと、彼は即座に“そんなクソみたいなことやるかよ”と答えた。俺は“いや、やるんだ”と言って、彼を砂丘へ連れて行った。かなり大きな砂丘で、登るのも一苦労だった。彼はそれでも撮影を拒んだ。俺は引かずに“絶対にやるんだ”と食い下がった。俺が露出計を取り出したそのとき、オジーのポケットからハーモニカが出てきて、彼はブラック・サバスのT“he Wizard”を吹き始めた。そこにはオジーと俺だけ。砂漠のど真ん中で、俺だけのプライベートショーだった。

吹き終わっても彼は“写真は撮らない”と言って、運転手のところへ歩いて行ってしまった。ついに俺は叫んだ。“絶対に撮るんだよ!”。彼は折れて、5枚だけ撮らせてくれた。その5枚はどれも素晴らしい写真だったよ」


(Image credit: Ross Halfin)