
The Cars: Let the Stories Be Told
ザ・カーズ(The Cars)のフロントマンだった
リック・オケイセック(Ric Ocasek/2019年に死去)が残した20数曲の未発表スタジオ録音を用いて、ザ・カーズの存命メンバーが新しいアルバムに取り組んでいるようです。
この情報はビル・ジャノヴィッツによるザ・カーズの伝記『The Cars:Let the Stories Be Told』にて明らかになりました。この本書にはバンドの存命メンバー3人全員、ギタリストのエリオット・イーストン、ドラマーのデイヴィッド・ロビンソン、キーボーディストのグレッグ・ホークスが協力しています。ベーシスト兼ヴォーカリストのベンジャミン・オールは2000年に亡くなっています。
Ultimate Classic Rockによると、この本の最終章でジャノヴィッツは、オケイセックの親しい関係者が集めた20数曲のトラックを、数年前にホークスが受け取ったと書いています。
その中の「I Just Can't Stay」は、オールとオケイセックの双方のヴォーカルを特徴としており、ザ・カーズ結成前の共同作業時代にさかのぼる楽曲だという。
プロデューサーのエド・ヴァラウスカスとエンジニアのジョエル・エディンバーグとともに少し作業を進めたのち、ホークスはロビンソンとイーストンをプロジェクトに招きました。イーストンは2024年8月にギターパートの追加を開始し、「I Just Can't Stay」と「Can't Stop the Rain」から取りかかったという。ジャノヴィッツはこう書いています。
「“Can't Stop the Rain”でのエリオットの25秒間のソロは、僕と同じようにファンの顔もきっと笑顔にさせるはず。彼は曲全体に通底するフックを加えて、数か月前に僕が聴いたヴァージョンからまったく別物に生まれ変わらせていた。“これだ”と思ったよ。グレッグのシンセ・パートと併せて、バンドがリックのデモをカーズの楽曲へと昇華させた手法そのものなんだ」
挙げられているほかの曲には「The Factory」や「One by One」があり、後者はオケイセックが最後に取り組んでいた曲だと言われています。さらに「Crossing the Line」と「Crazy Over You」の2曲は、ある時期にオケイセックが取り組んでいたジャズの影響を受けたアルバムの一部ではないかと推測されています。
これらの音源のリリースはまだ発表されていませんが、この本には、存命メンバー、そしてオールとオケイセックの両名の遺産管理者が「ザ・カーズのビジネス上の意見の相違が、未発表の楽曲をファンに届ける妨げにならないだろ」と書かれています。