
Steve Albini, photo by Jim Bennett/WireImage
スティーヴ・アルビニ(Steve Albini)が若いドラマーを励ます動画がSNSで拡散されています。
この動画は、アルビニが心臓発作で亡くなってから数週間後にアルビニの妻ヘザー・ウィナによって最初に投稿されたものです。先日に、プロデューサーのジョン・コングルトンが改めて共有し、動画に添えられたキャプションにはこう書かれています。
「ちょっとしたしインスピレーションが必要なとき、この動画を見ることがある。毎日スティーヴが恋しい。スティーヴは正しいことだと信じたからこそ、すべてを実行した。条件も期待もせずに自らを捧げた。このビデオを見てほしい。私が知る限り最高の人物を見られるから」
動画の中で、アルビニは自分の妻と仕事をした女性の息子だという11歳の少年オリバーに自己紹介をしています。
「君にちょっとした励ましのメッセージを送りたいと思ってね。(妻の)ヘザーが君のドラム演奏映像を見せてくれた。11歳だって聞いて驚いたよ。僕は10代になるまで音楽を真剣に聴いていなかったのに、君はもう演奏している。すごいスタートだね。
君を励ましたくて、そして伝えたかったんだ。音楽は一生続けていけるし、人生の残りの時間を音楽に費やすことだってできる。でも、毎日、朝から晩までやる必要はないし、人生の全てである必要もない。何度でも戻ってきて続けられるし、そのたびに報われることがある。
僕は音楽で生計を立てている。スタジオで働き、バンドもやっている。今まさにツアーで自分のバンドと何本かライヴをしに出かけるところだ。でも、そんなに大げさなものでなくてもいい。たまにやるだけでもよくて、それでも満足感は十分得られるんだ。
もう一つ言うとね。ヘザーが、君の好きなアーティストとしてニルヴァーナやPJハーヴェイ、ザ・ブリーダーズの名前を挙げていたけれど、彼らのことはよく知っているよ。
実際に彼らと話して分かったのは、彼らが若い頃はみんな、自分は変だとか場違いだとか感じていたということなんだ。僕自身も若い頃は…やっぱり変だし場違いだと感じていた。だから知っておいてほしいのは、その感覚はいつか通り過ぎて、やがて自分自身や自分のアイデンティティに居心地の良さを感じられるようになるということ。他の人が自分について何を言おうが、どう思おうが、気にする必要はなくなるんだ。
例えば、カート・コバーンも若い頃に多くの葛藤を抱えていた。彼はジェンダー・アイデンティティについて疑問を抱えていたし、性的指向についても、自分の居場所についても悩んで、しばらくは迷い続けていた。でも、やがて自分自身を受け入れ、自らのアイデンティティとパーソナリティを完全に確立したんだよ。
彼女(PJハーヴェイ)は10代の頃は摂食障害があって、感情面の問題も多かった。でも時間の経過とともに自分自身を受け入れられるようになり、自分のありのままの姿でいいんだと気づき始めた。他人を満足させるために自分を変える必要なんてないんだと気づいたんだ。
(元ピクシーズでブリーダーズのキム・ディールと双子の姉妹のケリー・ディールは子どもの頃、頻繁に嘲笑され、いじめられていたことにも触れ)
彼女たちは双子で、それが奇妙で気味悪いものとして見られていた。でも時間が経つにつれて自分たちを受け入れられるようになり、他人の言うことは重要ではないと気づいたんだ。大切なのは、自分という人間に満足しているかどうかだ。自分を満たすためにやりたいことをやり続ければ、そのままの生き方で一生を過ごせるんだよ。
君が音楽を追求することを応援したかった。君ならきっと素晴らしくやれると思う。それだけだよ」