ハンブル・パイ(Humble Pie)は、全英チャートで4位を記録したデビュー・シングル「Natural Born Bugie(邦題:あいつ)」を、ライヴであまり演奏しませんでした。なぜか?
ピーター・フランプトン(Peter Frampton)によると、ライヴで絶叫する熱狂的な女性ファンを嫌ったためだという。米国ツアーを行ったのも、そんなファンのいる英国を離れたかったからだという。英Uncutの新しいインタビューの中で語っています。
フランプトンは「Natural Born Bugie」が呼び寄せた熱狂的な女性ファンが特に嫌いだったと振り返っています。
「ヒット曲だったので、当然『トップ・オブ・ザ・ポップス』で演奏しなければならなかった。
スティーヴ・マリオット(Steve Marriott)は本当にやりたくなかった。彼は乗り気じゃなかった。で、当然、初めて出演した直後の次のライヴでは、観客から悲鳴をあげられたんだよ」
ハンブル・パイ結成前、フランプトンとマリオットは「ポップスター」のイメージを払拭したがっていました。しかし、レコード会社は彼らを真剣に扱わず、『トップ・オブ・ザ・ポップス』で大勢の女性ファンの前に立つと、2人はまたしても「アイドル」扱いを受けたのです。フランプトンはこう続けています。
「スティーヴと顔を見合わせ、“あの子たち、叫んでるのか?”と言ったよ。あの状況から逃れるためにハンブル・パイを結成したのに! だから僕たちは“イギリスなんてクソくらえ、アメリカへ行こう”って言ったんだ」
その後、ハンブル・パイは初のアメリカ・ツアーを行いました。
叫び声に気づいたのは2人だけではなく、ドラマー兼キーボード奏者のジェリー・シャーリーはこう付け加えています。
「僕たちは叫び声から逃げたかったんだよ。アコースティック・セクションからライヴを始めたので、ピーターがアコースティックギターを抱えて座ってるだけで、女の子たちが彼に向かって叫びまくってるんだよ。普通じゃなかった」
フランプトンはさらに、マリオットがその反応をとても嫌っていて、「Natural Born Bugie」をライヴで演奏したくなかったと振り返っています。「スティーヴはコンサートで、このシングルを演奏したくなかったんだ」。そして実際、バンドはしばらくの間、この曲をセットリストから外しました。