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映画『ボサノヴァ~撃たれたピアニスト』の題材 謎が多く残るブラジル人ピアニストの失踪 約50年を経て解明 軍事独裁政権の犠牲者だった

2025/09/14 22:25掲載(Last Update:2025/09/15 01:42)
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『ボサノヴァ〜撃たれたピアニスト』 © 2022 THEY SHOT THE PIANO PLAYER AIE – FERNANDO TRUEBA PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS, S.A. – JULIÁN PIKER & FERMÍN SL – LES FILMS D’ICI MÉDITERRANÉE – SUBMARINE SUBLIME – ANIMANOSTRA CAM, LDA – PRODUCCIONES TONDERO SAC. ALL RIGHTS RESER
『ボサノヴァ〜撃たれたピアニスト』 © 2022 THEY SHOT THE PIANO PLAYER AIE – FERNANDO TRUEBA PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS, S.A. – JULIÁN PIKER & FERMÍN SL – LES FILMS D’ICI MÉDITERRANÉE – SUBMARINE SUBLIME – ANIMANOSTRA CAM, LDA – PRODUCCIONES TONDERO SAC. ALL RIGHTS RESER
今年公開のアニメーション映画『ボサノヴァ~撃たれたピアニスト』は、1976年に突然姿を消したブラジル人ピアニストのテノーリオ・ジュニオルの生涯を題材とした作品でした。約50年にわたり、彼の行方は謎のままでしたが、ついに解明されました。ジュニオルは、アルゼンチンの軍事政権に政治活動家と間違われ、軍に拘束され拷問を受けた後に射殺されていました。

テノーリオ・ジュニオルは、サンバとジャズを融合させた先駆者の一人で、ある批評家は彼を「黄金の手」を持つピアニストであり「計り知れない未来」を秘めた人物と称賛していました。

1976年3月18日未明、彼はタバコなどを買いにホテルを出たまま、アルゼンチンのブエノスアイレスの街から突如姿を消しました。

その数日後の3月24日にアルゼンチンで軍事クーデターが発生しました。このクーデターは国を恐怖と拷問、強制失踪という暗黒の時代に突き落としました。軍事政権は左翼ゲリラの取締を名目として、労働組合員、政治活動家、学生、ジャーナリストなどが逮捕、監禁、拷問され、3万人が死亡者や行方不明者となったとされています。

この混乱の中でジュニオルの失踪の真相は闇の中に。しかし、年月を経て、様々な目撃者が名乗り出ました。ホテル近くの新聞売店で働いていた男性は、ジュニオルが緑のフォード・ファルコン(※アルゼンチンの死の部隊が好んで使用していた車種)に乗せられて連れ去られるのを目撃したと証言しました。

アルゼンチンの法医学チームは数十年を経た今も、軍事政権によって失踪させられた人々の遺体を発掘・身元確認をしています。このチームは、ジュニオルの行方不明の数日後に空き地で見つかった射殺された男性の遺体について詳しく調べたところ、指紋がジュニオルと一致したため、ジュニオルの遺体だと正式に特定し、ジュニオルはアルゼンチンの軍事独裁政権の犠牲者であったことを確認しています。

『ボサノヴァ〜撃たれたピアニスト』予告編映像