ブラジル音楽界の奇才
エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)が死去。彼の家族が公式SNSアカウントで発表。死因は明かされていません。89歳でした。
エルメート・パスコアールは、1936年生まれ、ブラジル北東部出身。貧しい寒村で生まれ育ったが、父親がアコーディオン奏者だったこともあって早くから音楽に親しむことができた。いつしかプロのミュージシャンとして生計を立てていくようになった。
ブラジルでは「魔術師」や「狂気の天才」として知られていたパスコアールは、ピアノやキーボード、フルートのような鍵盤・管楽器にはじまり、ヤカンや動物の鳴き声までを、ユニークで美しいオーケストレーションや即興演奏へと昇華する天性の才能によって、半世紀以上ものキャリアを通して世界中の音楽家やリスナーに影響を与えてきた。
2,000曲以上の器楽曲を作曲し、その多くは風変わりな拍子や和声で構成され、予測不能で冒険的な音楽を好む世界中のジャズミュージシャンや聴衆から愛される存在となった。マイルス・デイヴィスなどのジャズ界の巨匠たちを含む、他のアーティストのために何百もの楽曲のオーケストレーションやアレンジも手掛け、デイヴィスはパスコアールを「地球上で最も重要なミュージシャンの一人」と評していた。